研究課題/領域番号 |
21K12275
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所(環境研究部、食と農の研究部及び水産研究部) |
研究代表者 |
奥村 智憲 地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所(環境研究部、食と農の研究部及び水産研究部), その他部局等, 主査 (20649636)
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研究分担者 |
小杉 緑子 京都大学, 農学研究科, 教授 (90293919)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 揮発性有機化合物 / BVOC / 温暖化影響 / 温暖化模擬試験 |
研究実績の概要 |
植物から大気へ放出される揮発性有機化合物(VOC)の全球の総量は、人為起源VOCの数倍から10倍の規模であると推定されており、VOCは大気中での反応を経て、大気汚染物質であるエアロゾル(PM2.5など)や対流圏オゾン等の主な前駆物質となっている。一般的に植物のVOC放出は葉温の上昇に伴い、短期的には増加することが知られている。そのため、温暖化による気温上昇によって植物起源VOCの放出量が増加すると考えられているが、温暖化による長期間に及ぶ気温上昇に対する応答を調査した研究例は非常に少ない。そこで、本研究では日本の代表的な森林構成樹種のVOC放出が長期的な高温暴露によって、どのような応答を示すのかを数年に及ぶ温暖化模擬実験により定量的に明らかにしてゆくことを目的としている。 R5年度においても昨年に引き続き、複数年に及ぶ高温暴露が植物のVOC放出量に及ぼす影響を調査するため、周囲をビニールシートで囲ったオープントップチャンバ(OTC)を温暖化区とした温暖化模擬試験を実施した。なお、実験では比較のために同種の植物種をOTC外に設置し対照区とした。今年度は分析装置の故障のため、測定できた植物種はコナラ(落葉広葉樹)のみとなったが、植物VOCの放出量が最大となる夏季に温暖化区と対照区の基礎放出速度(葉温と光合成光量子束密度が一定下における放出速度)を計測した結果、コナラの基礎放出速度が対照区よりも温暖化区で低い傾向にあることが確認された。今年度の結果を含めて、これまで得られた結果の一部を取りまとめ、学会にて成果報告を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2年目(R4年度)における一部の植物種で葉の病気が発生したことに加え、今年度に分析装置の故障に対して国外からの交換部品の納品に時間を要し、一部の植物種で夏季に測定ができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
これまで得られた結果を取りまとめ、成果発表してゆく。また、必要に応じて一部の植物については追加試験を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
装置修理が完了しなかったため。
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