研究課題/領域番号 |
21K12308
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
野毛 宏文 岡山大学, 教育学域, 講師 (80455146)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | パーム酸油 / 水素化脱炭素反応 / 卑金属触媒 / 燃料改質 / 軽油代替燃料 |
研究実績の概要 |
これまで、安価で、結晶構造的に安定で、非化学量論組成や過酸化物を作らない点で有利なMgO触媒のみを用いて、大気圧下で脱炭素反応と脱カルボニル化反応を試みた。しかし、次の1~3の問題が残った。1.長鎖炭化水素の回収率の不足、2.燃料の炭化や副次的なガス成分の生成、3. PAO(パーム酸油)の反応流量の変動。そこで、本課題では触媒、活性を維持、向上を堅持しつつ、1に対しては、触媒の再検討、2に対しては、反応温度の低下、3に対しては、配管をPAOの融点以上の均一温度に保温し、実験を行った。1に対して、Ni等の卑金属触媒を加え、MgO触媒との複合化も行ったが、MgO触媒単体よりも回収率が低下する、あるいは現状と変わらなかった。ただし、配合パターンの試験も不十分であるため、さらなる卑金属触媒を試験する必要がある。2に対しては、反応温度を低下させる代わりに、反応時間を数倍~数十倍程度に延ばすことで、回収率の向上と回収時の色の改質が確認された。3に対しては、ヒーターの巻き方や加熱温度を調整することで、PAOの流量を概ね一定に保つことができ、再現性のある実験データが得られるようになった。 一方、高圧リアクターにおけるPAOの水素化脱酸素反応においては、大気圧化による実験よりも反応時間が長くなりそうである。一方で、触媒の中に酸素原子が多く含まれると、実験条件によっては1MPa程度でも酸化が激しく進行し、液体試料がなくなってしまうため、卑金属元素や担時体に含まれる酸素原子には注意する必要があることが分かった。さらに、PAOには夾雑物が含まれるため、夾雑物が水素化脱酸素反応を阻害していると考えられるため、何らかの前処理を加えて、引き続き実験条件を調整する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた計画は、少なくとも実行しており、相当の結果も得ているため。
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今後の研究の推進方策 |
とくに、PAOに含まれる夾雑物が反応に影響していると考えられるため、夾雑物の影響を軽減する手段の検討とその実験を試みる。 卑金属の種類や配合や実験条件も十分に調べられたとは言い難いため、引き続き、実験を繰り返し、水素化脱炭素反応等を円滑に促す触媒や実験条件を見極め、最適条件を見出していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響で当初予定していた出張がすべてキャンセルになり、また、構内への学生の出入りも制限されたため、出張費や謝金の支出は次年度以降に使用する予定である。 次年度以降は、引き続き、消耗品の購入や出張費、謝金に使用する予定である。
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