研究課題/領域番号 |
21K12328
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
笹井 和美 大阪公立大学, 大学院獣医学研究科, 教授 (70211935)
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研究分担者 |
松林 誠 大阪公立大学, 大学院獣医学研究科, 教授 (00321076)
石塚 譲 地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所(環境研究部、食と農の研究部及び水産研究部), その他部局等, 主任研究員 (00333435)
幸田 良介 地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所(環境研究部、食と農の研究部及び水産研究部), その他部局等, 主任研究員 (60625953)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 野生動物 / 外来種 / 在来種 / 寄生虫 / 感染 / 糞便 |
研究実績の概要 |
ヌートリアは南米原産の半水棲齧歯類で、日本では特定外来生物に指定されている。本研究では、岡山県と大阪府で捕獲されたヌートリアからEimeria属原虫を分離し、形態観察と分子系統解析を行った。 方法)2022年に捕獲されたヌートリア15検体の腸管内容物を検査し、Eimeria属原虫のオーシストを形態観察した。形態的に異なる2種類のオーシスト(タイプA:長楕円形、タイプB:亜球形)について、COI遺伝子と18S rRNA遺伝子の部分塩基配列を決定し、分子系統解析を行った。 結果)15検体全てからEimeria属原虫が検出され、形態学的にタイプAとタイプBの2種類に分類された。タイプAは海外で報告されているE. coypiに、タイプBはE. nutriaeにそれぞれ類似していた。COI遺伝子解析では、タイプAは4つの亜型に分かれ、齧歯目に寄生するEimeriaが構成するクレード内に3つのサブクレードを形成した。一方、タイプBは他の齧歯目Eimeriaとは独立したクレードを形成した。18S rRNA遺伝子解析はタイプBのみで成功し、齧歯目Eimeria種間で高い相同性が示唆された。 考察)本研究で同定されたE. coypiとE. nutriaeは、ヌートリアに感染した状態で持ち込まれた可能性が高い。しかし、COI遺伝子解析の結果、E. coypiは齧歯目Eimeriaが複数種含まれるクレード内に位置し、近年宿主の切り替えが起こっている可能性が示唆された。今後は、日本国内の齧歯目からの伝播の可能性について詳細な調査が必要である。
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