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2022 年度 実施状況報告書

里地里山の管理放棄地・水域における新たな自然共生システムの構築

研究課題

研究課題/領域番号 21K12330
研究機関北里大学

研究代表者

柿野 亘  北里大学, 獣医学部, 准教授 (10623936)

研究分担者 樽屋 啓之  北里大学, 獣医学部, 教授 (00355653)
眞家 永光  北里大学, 獣医学部, 准教授 (00453514)
永吉 武志  秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (50331286)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード管理放棄 / 生態環境保全 / 防災 / 中山間地域
研究実績の概要

研究計画書におけるフェーズⅠ(遊水地および・湧水地の生態環境評価とこの評価に応じた代表種の生態管理必要条件の把握)については,2021年度に継続して,管理放棄された谷津田周辺のトンボ類の消長および介入効果(草刈り)の評価を行い,6月27日に実施された草刈り以降にシオヤトンボの出現個体数が多くなった。このことから,2021年度の同様の効果がルリボシヤンマで実証されたが,シオヤトンボでも実証された。また,湧水由来の止水域にDOロガーを設置したところ,6月~9月末まで断続的,連続的に溶存酸素濃度が0に至り,幼生が生息できる溶存酸素環境ではなかった。農産物の廃棄が原因ではあったが,下流側を流水路と接続させ,流水性の水域にできれば改善されると考えられた。一方で遊水地の配置候補を選定するための検討として,ドローンによるサーモグラフィ解析によって湿地と非湿地との差が視覚的に把握できた。
フェーズⅡ(生態管理行為と人間活動との接点を考慮した生態管理計画の立案)については,管理放棄された水路に千鳥形式に杭群を設置した範囲を防災,生態面から評価したところ,直下流の暗渠に,増水時に落葉落枝が詰まってしまうことを回避できるよう杭群で回避できている可能性が指摘された。また,杭群の一部が欠損し,流れの形態やこれに伴う瀬・淵の配置に変化が見られたものの,蛇行度を算出して蛇行形態が維持されていることが判明した。さらには,アブラハヤ等魚類の生息も認められ,杭群設置の効果が評価された。
フェーズⅢ(生態管理の長期的継続性を可能にするための法令的・政策的諸検討と手法開発)については,管理放棄された農業水路における非機能性(農業用水等)と新たな機能性(生態系保全や遊水地としての防災)を整理できた。
管理放棄ため池が防災重点農業用ため池として選定される改廃問題が提示され,イシガイ科二枚貝に着目して整理した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現時点では,進捗がフェーズⅡとⅢが逆になっているが特段問題はない。また,実績にも反映したが,全国の管理放棄された農業用ため池が改廃される危機が高まっていたことから,急遽,イシガイ科二枚貝に着目して問題を指摘した。また,トミヨ類の巡航速度,突進速度を把握し,管理放棄水域での流水環境の変化の対応有無および遊水地の代表種としての可能性を加えて検討できている。

今後の研究の推進方策

おおむね良好に進んでいる。2023年度が最終年度となるため,得られたデータの精度を高めるための調査(フェーズⅠ;代表種の生活環境担保の可能性)として,トンボ類の消長および介入効果の評価を行う。また,水路内の生態環境(魚類)をより高めるための杭群設置の修正案も提示できるよう砂礫堆の評価も行う(フェーズⅡ;生態管理行為と人間活動との接点を考慮した生態管理計画の立案)。以上を踏まえて,管理放棄された土地における新たな自然資源活用行為と代表種の生態環境との関係を考察し,観光の可能性検討を踏まえた小規模のエコパーク計画を提示する。

次年度使用額が生じた理由

コロナ対策によって職場での移動制限下にあったことから旅費の捻出がかなわなかった。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] イシガイ類とその生態環境の保全-カワシンジュガイ科,イシガイ科の分類体系変更に着目して-2023

    • 著者名/発表者名
      柿野 亘,竹内 基,伊藤寿茂,成田 勝,中村咲蓮,塩練元輝,杉山真言,岡田あゆみ,筏井宏実,眞家永光,馬場光久.
    • 雑誌名

      日本動物分類学会誌

      巻: 54 ページ: 23-35

    • DOI

      10.19004/taxa.54.0_23

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 一本木沢ビオトープにおけるため池の水位変動がトンボ類の生息に与える影響2023

    • 著者名/発表者名
      吉岡諒人,藪崎結依,松尾芳樹,馬場光久,柿野亘
    • 雑誌名

      青森自然研究

      巻: 28 ページ: 177-183

  • [学会発表] トミヨ属淡水型の臨界遊泳速度に関する実験的研究2022

    • 著者名/発表者名
      本間赴実弥・永吉武志・神田啓臣・柳沼ひかり
    • 学会等名
      2022年度(第71回)農業農村工学会大会講演会
  • [学会発表] トミヨ属2種の臨界遊泳速度に関する実験的研究2022

    • 著者名/発表者名
      本間赴実弥・永吉武志・神田啓臣・大石勝・児玉将一・大西将嵩
    • 学会等名
      令和4年度農業農村工学東北支部宮城大会第62回研究発表会
  • [学会発表] イシガイ類の生態環境の保全2022

    • 著者名/発表者名
      柿野亘,伊藤寿茂,筏井宏実,杉山真言,竹内基,眞家永光,馬場光久
    • 学会等名
      2022年度日本動物分類学会シンポジウム
    • 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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