研究課題/領域番号 |
21K12335
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
深澤 春香 (大橋春香) 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (60868066)
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研究分担者 |
小南 裕志 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (70353688)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ニホンジカ / 積雪 / シミュレーション |
研究実績の概要 |
日本に生息する代表的な大型有蹄類であるニホンジカ(以下シカ)は、1970年代頃まで分布が寡雪地域に限られていたことや、蹄の面積が狭く雪に沈みやすいという形態的特徴から、多雪地域には生息できないと考えられていた。しかし近年、ニホンジカが多雪地域にも分布を拡大し、生態系管理上の問題となっている。この原因として積雪期間の減少が関与したとされるが、ニホンジカの分布拡大は積雪の減少よりも早く進行しており、未知の要因の関与が疑われる。本研究では、積雪とシカの分布との間にある物理的・生態的な因果関係を統合化したエージェントベースモデルを開発し、近年の多雪地域における急激なシカの分布拡大を促進した要因を解明することを目的とする。
2021年度には、シミュレーションの基盤となる高解像度の積雪モデル構築に必要なデータを整備し、プロトタイプを作成した。具体的には、100m解像度の数値標高モデルをもとに、方位・傾斜等の環境データを整備し、斜面方位による融雪速度の違いや樹冠遮断の影響を組み込んだ積雪モデルを作成した。また、過去に得られた自動撮影装置調査で得られたデータの分析から、ニホンジカの出現頻度と積雪深の関係式が得られた。今年度はさらに、積雪環境下でのシカの歩行様式の情報を定量的に調べるための自動撮影装置の試作を行い、試運転を開始した。
これらの成果は、積雪期のニホンジカの生息適地を面的に可視化するための基盤情報となり、効率的な冬季の捕獲場所の選択への応用が期待できる成果である。また、次年度以降開発する、エージェントベースモデルの基盤となる、重要な成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染症の感染防止対策に伴う、都道府県間の移動の自粛期間が現地調査に好適な時期と重複してしまったことにより、現地調査の遅れがあった。その一方で、モデルのプロトタイプの作成や過去のデータの分析を行ったほか、積雪環境下でのシカの歩行様式の情報を定量的に調べるための自動撮影装置の試作が完了し、試運転が開始できるなど、研究が大きく進展した。
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今後の研究の推進方策 |
今後、高解像度積雪モデルの改良を進めると同時にニホンジカの出現頻度と積雪深の関係式を確立し、両者を組み合わせることにより冬季のニホンジカの生息好適度を面的に可視化する。そのうえで、シカの移動を再現するシミュレーションモデルを構築する。新型コロナウイルス感染症の感染防止対策に伴い、予定していた現地調査に行くことが困難となる可能性もあるが、文献調査で必要な情報を補うなど、柔軟に対応する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症対策のため、現地調査の実施が困難であったため、次年度使用額が生じた。新型コロナウイルス感染症の拡大状況を踏まえながら実施する予定である。
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