研究課題/領域番号 |
21K12340
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
奥村 進 滋賀県立大学, 工学部, 教授 (70204146)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 循環経済 / リユース / リマニュファクチャリング |
研究実績の概要 |
使用済みの工業製品からリユース可能な部品を取り出し,それを新規に製造する工業製品に組み込む生産方式(リマニュファクチャリング,再製造)は,すべての部品を新規に製造して組み込む生産方式よりも環境への負荷が低減でき,資源循環性が向上する.使用済み製品のリユースも同様である.本採択課題では,循環経済(サーキュラーエコノミー)の視点で,資源循環と経済成長の両立を目指し,リマニュファクチャリングや製品リユースを効果的に行う上で不可欠である,環境配慮型製品の設計や使用済み製品の回収率などに関する理論解析に基づいた新規的な指針を得ようとするものである.本年度では次の研究成果を得た. (1) 使用済み製品がリユース工場に回収され,リユース・リサイクル・廃棄という何れかの選択がなされることを想定し,使用済み製品の循環性を評価するためにリユース効率という指標を確率モデルとして構築した. (2)リユース効率に関する確率モデルの特徴を調べた.絶対劣化時刻・相対劣化時刻ともガンマ分布に従う場合を想定し,工業製品の耐久性と使用済み製品の回収率をパラメータとしたもとでリユース効率を等高線図として表した.その結果,工業製品の耐久性と使用済み製品の回収率はリユース効率に大きな影響を及ぼすが,その感度に関しては使用済み製品の回収率が小さいと工業製品の耐久性を向上させる効果が小さいことがわかった.逆に回収率が高いほど,工業製品の耐久性を向上させる効果が大きくなることがわかった. (3) リユース部品の長寿命化と使用済み製品の回収にはコストが発生する.そこで,リユース効率を大きくしつつ,同時にコストを小さくするべく,単位コストあたりのリユース効率という評価基準を考え,それが最大となるような製品耐久性・回収率・リユース回数を得ることを目的として最適化問題を定式化し,最適解を導いた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度までに進めた研究を基礎にして今年度の研究を進めたこともあり,概ね順調に進んでいると判断している.
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究成果を踏まえて次の研究を行う. (1) 昨年度の研究では絶対劣化時刻分布と相対劣化時刻分布は再生性を有するガンマ分布を設定してリユース効率に関する解析的な結果を得ていたが,今年度の研究では確率分布として再生性が存在しない分布を対象にしてリユース効率の特徴に関して数値的に調べる. (2) 使用済み製品の回収率の向上にはコストが発生し,物理寿命の平均を向上させるにもコストが発生する.そこで,これらを前提条件として,リユース効率と循環経済軸を同時に考慮した時間軸と循環経済軸の最適化を行う. (3) 製品および部品レベルのエンドオブライフオプション(EOL オプション) の決定問題を,循環経済軸も考慮した数理計画問題として定式化し,最適なEOL オプションを得る.
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次年度使用額が生じた理由 |
現有設備の本研究遂行における適否を見極めながら本年度の研究を進めた結果,物品費を節約できたため次年度使用額が生じた.また,コロナ禍で学術研究集会がオンライン形式で開催されたことも次年度使用額が生じた理由である.計算機のハードウェアとソフトウェアの進歩を踏まえて適切なものを購入する予定である.
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