研究課題/領域番号 |
21K12347
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
孫 穎 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (50536670)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | グリーンサプライチェーンマネジメント / サプライチェーン単位での包括的な環境管理 / 低炭素化対策 / 国際展開モデル / 日本と中国企業 |
研究実績の概要 |
本研究は「国境を超えたサプライチェーン単位での包括的な環境管理(Green Supply chain Management、以下GSCM)をいかに実現するのか」という方法論を、環境管理の格差が激しい日中製造業に対する分析を通して定量的に提示することを目的とする。 製造業の国際分業が進む中、企業の環境管理は一企業単位から国境をまたぐサプライチェーン単位での環境管理へ変化している。GSCMの実施内容や影響要因は何か、企業業績にどのような影響を与えているかについて、既存研究では主に一国内の企業を対象に分析されてきた。一方で、国をまたぐGSCM推進の方法論に関する研究蓄積は十分ではない。 本研究では、アンケート調査と統計モデルを用いて、①GSCMの二国間の展開構造は何かを明らかにした上で、②日本企業の先進的な低炭素化管理が調達連鎖を通じて中国企業へと拡散する動的経路を予測することにより、国境を超えたGSCM推進の条件を提示する。 初年度では、理論研究とヒアリング調査をもとにGSCM展開の影響要因(促進/阻害)を抽出し、階層構造化手法を用いて、日中間のGSCM展開の理論モデルを構築した。それをもとにアンケート調査票を設計し、オンラインによるヒアリング企業調査を進めてきた。その結果と共分散構造分析を用いて理論モデルを検討し、日中間のGSCM国際展開モデルの構築を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本と中国で、互いに取引関係のある日中の製造企業を対象に事前訪問調査と本調査を実施する予定であったが、コロナ禍の為、オンラインでのヒアリング調査、文献調査及び企業の公開情報に基づいた企業調査を進めてきた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、イノベーション普及理論に基づき、GSCM展開の予測モデルの理論フレームワークを構築する。GSCM国際的展開の影響要因に関する日中企業の収集データから、回帰分析を用いてパラメータを求め、GSCM展開に関する「伝播モデル」を構築する。さらに、企業のGSCM実施の確率分布を分析し、「プロビット行動モデル」を構築することでGSCM展開の動的経路を解明する。そのうえで、GSCM展開の予測モデルの開発を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
日本と中国で、取引関係のある日中の製造企業を対象に事前訪問調査と本調査(質問票調査)を実施する予定であったが、コロナ禍により、調査形式をオンラインでのヒアリング調査、文献調査及び企業の公開情報に基づいた企業調査へと変更したため、次年度使用額が生じた。現地での企業調査を今年度に行うこととし、次年度使用額はその調査経費に充てることとしたい。
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