研究課題/領域番号 |
21K12351
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
中村 秀規 富山県立大学, 工学部, 准教授 (40463111)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 市民対話 / 対話文化 / 道徳基盤 / 協働の範囲 / 社会調査 / 熟議民主主義 / 参加型ガバナンス |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、日台において、東日本大震災後のエネルギー環境政策に関する市民対話への参加意思と、対話文化および道徳基盤との関係を、社会調査により明らかにすることである。そのために、環境エネルギー問題を知ろうとする意思、無作為抽出型市民対話への参加意思、異なった考えを受け入れなくとも受け止め対話しようとする意思、そして協働する仲間の範囲と道徳観に関する測定を、インターネットパネルを活用した社会調査で行った。対話に対する態度の測定には、日本で行われてきた市民対話研究で使用された尺度を使用した。協働の範囲の測定には、世界価値観調査での信頼に関する質問を基に開発した尺度(異なった属性の他者に対する信頼比率)を使用した。道徳基盤に関する測定には Morality-as-Cooperation Questionnaire (MAC-Q)を使用した。 2022年度には台湾での調査(N=800)を行った。また、2021年度に行った日本での調査データも用いて、日台の比較・統計解析も行った。主要な発見は以下の通りである。 台湾人回答者は、日本人回答者と比して、環境エネルギー問題を知ろうとするより強い意思、環境エネルギー問題に関する無作為抽出型市民対話へのより強い参加意思、より肯定的な対話への意思、そして信頼比率から見てより広い協働の範囲を有している。 信頼比率を有意に引き下げる他者の属性は、日本では教育、職業、そして経済水準の違いであり、台湾では宗教、政治志向、そして経済水準である。 対話への態度と協働の範囲から示唆される開放性は、日台ともに市民対話への参加意思と正相関している。ただし、対話への態度に関して、日本では異論を話す態度が、台湾では異論を聴く態度が、市民対話参加意識と正相関するという違いがある。 以上の結果は論文として国際誌に投稿・受理され、出版予定となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
台湾での社会調査を実施し、分析を終え、論文投稿・受理まで進捗したため。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度に日台同時に、実際の市民対話を行う形で調査を行う可能性の検討を行い、実施可能であればその準備を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
台湾での社会調査役務費用の残額である。日台同時調査の費用に充当する。
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