研究課題/領域番号 |
21K12355
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
前田 洋枝 南山大学, 総合政策学部, 教授 (70611094)
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研究分担者 |
渡邉 聡 愛知淑徳大学, ビジネス学部, 准教授 (80584896)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | チャリティショップ / 寄付 / エシカル消費 / 持続可能な社会 / 社会心理学 / 経済学 |
研究実績の概要 |
本研究課題に関連して、2020年度までに実施したインタビュー調査結果の一部を「環境NPOが運営するチャリティショップの現状と課題――名古屋の環境NPOへのインタビュー調査による検討――」として南山大学の紀要「アカデミア」社会科学編に論文として2021年6月に公刊した。この論文では、チャリティショップの開設・発展・今後の展望における行政・企業・他のNPO・研究者との協働について明らかにし、インタビューを行なった環境NPOがチャリティショップの開設や2号店以降の展開では、過去の活動で培った企業や地元のNPOなどとのつながりを活用しており、チャリティショップが地域の持続可能な社会の実現に寄与しうると示した。この成果は学術面だけでなく、チャリティショップを今後開設するNPOなどにも有用と考えられる。加えて、関係者がチャリティショップの概念を受容するプロセスや,チャリティショップ運営団体同士のネットワーク化による効果や期待を検討し、ネットワーク化により目指す成果は、チャリティショップの普及,財政基盤強化,被災地支援の充実などさらなる社会貢献の3点を示した。 学会発表は2021年7月に開催されたICP2020+と日本社会心理学会第62回大会の2件実施し、研究代表者(前田)が第1著者・発表者として主に担当した。国内外の関連分野の研究者に研究成果を発信し、意見交換を行なった。 研究分担者(渡邉)は、寄付・ボランティア・倫理的消費など利他的行動に関する経済学関連の先行研究を収集し、利他的行動の経済学的定義とその決定要因に関する研究を進めている。併せて、日本チャリティショップ・ネットワーク発行の「チャリティショップ白書」ならびに英国のCharity Shop関連の調査をサーベイしながら、寄付品やボランティアなどに関する調査内容の比較を行い、2年目以降の調査項目を精査するための準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
レビュー論文など2021年度に予定していた2本の論文の投稿が完了しなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
論文執筆に関しては、進捗目標をより細分化して研究代表者・研究分担者で支援し合うなどして進める。 2022年度もイギリスでのCharity Retail Association へのインタビュー調査や現地での資料収集などで海外出張を予定しているが、2022年度も新型コロナウイルスの影響による現地渡航が難しい場合は、2023年度での現地調査に向けた準備としてオンラインでのインタビュー調査やメールなどによる文書での調査の実施も検討する。 日本国内における調査については、日本チャリティショップ・ネットワークとの連絡・情報共有をこれまで以上に密にして進め、まだ調査できていないチャリティショップ運営団体へのインタビュー調査を実施していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
特に大きいのは、海外旅費の執行ができなかったことである。ICEP2021での研究発表を予定したイタリアへの出張(前田)を新型コロナウイルスの流行による渡航制限や出入国時の隔離などを考慮して中止した。 なお、ICEP2021ではハイブリッド開催であり現地参加できない場合でもポスター発表は可能であったが、会場への掲示のみであったため十分な研究発表成果が得られないと判断して発表自体を取り消したため、参加費も支出しなかった。 2022年度以降での使用計画としては、国内でのチャリティショップ運営団体へのインタビュー調査やチャリティショップの立地地域の地域住民に対する、利用促進アプローチの実施やその前後の調査の費用に使用する。
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備考 |
渡邉聡「チャリティにおける地域での「場の創出」の必要性-社会課題解決における利他的行動の動機と意義とは-」中部経済新聞2022年3月24日朝刊8面「オープンカレッジ」
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