研究課題
本研究では、再生可能エネルギーの主力電源化に向けて、施設稼働後あるいは事業計画において関係者の反対等が顕在化した後に紛争解決を図ろうとするこれまでのやり方は解決を困難にするとの問題意識のもと、環境面の影響を中心に扱ってきた現行の環境アセスメントの仕組みに、地域便益の観点を取り入れた再生可能エネルギー事業に着目して、それが地域の受容性に及ぼす影響を具体事例に基づく調査・分析から明らかにすることを目的とした。まず国が将来の主力電源として掲げている太陽光と風力発電を対象に新聞記事データベースであるELNETを活用して紛争発生件数の最新データを整理した。この結果、2022年末データで依然として多くの紛争が発生していること、陸上風力では直近5年間で70件以上の紛争が発生していることなどを明らかにした。次にこれらの対応として自治体が条例を設定する動きが活発化しているが、その中でも事前協議を規定するケースや協定の締結を求めるものが増えている現状を整理した。このため、前者では群馬県前橋市にヒアリング調査を実施して手続きの詳細を把握した。また、事前協議型と協定型の両者について、条例Webアーカイブデータベースで全国の制定状況やその概況を整理した。また、それぞれの成果を学術論文としてまとめている。さらに、事業地域便益の創出に資する事業の調査として、ソーラーシェアリングによる農業振興を進める神奈川県小田原市および千葉県匝瑳市、売電収入の還元、近隣公園整備や環境学習の協力などを進める滋賀県草津市の事例、また、海外先進事例として中国上海市において風力発電による電力を地域に供給するエネルギー的な地域貢献を進める事例を対象にして、近隣の送電線に電力を供給する大型風力発電施設と比較分析した。これらの事例分析により地域便益の創出が再生可能エネルギー事業の受容性に及ぼす影響を明らかにした。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件)
環境情報科学論文集
巻: ceis37 ページ: 116~121
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環境情報科学
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Journal of Environmental Information Science
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