研究課題/領域番号 |
21K12376
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研究機関 | 滋賀県琵琶湖環境科学研究センター |
研究代表者 |
木村 道徳 滋賀県琵琶湖環境科学研究センター, 総合解析部門, 主任研究員 (90573923)
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研究分担者 |
上須 道徳 大阪大学, 大学院経済学研究科, 教授 (50448099)
岩見 麻子 熊本県立大学, 総合管理学部, 准教授 (80750017)
熊澤 輝一 総合地球環境学研究所, 研究基盤国際センター, 准教授 (90464239)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 気候変動 / グラフデータベース / 地域特性 / 地域政策 / 環境政策 / 地域カルテ / 市民参加 |
研究実績の概要 |
本研究は、国際レベルから国、広域自治体、基礎自治体、市民活動などの主体が異なる気候変動に関する政策体系を一元化し、ネットワークとして表現するグラフデータベースを開発し、政策形成の具現化の過程における地域特性の影響を評価することである。 2023年度は、本研究の目的に従い、 以下の3項目の調査課題について主に実施した。 1.滋賀県高島市を対象に、地球温暖化対策実行計画区域政策編の策定に向けた、住民参加型ワークショップによる将来社会ビジョンの作成とこれらに基づく対策の検討。結果、区域政策編の策定において、市域レベルでは温室効果ガス排出量の算定において、独自の調査により積み上げることは専門性や予算的に難しく、環境省の自治体排出カルテなどの活用が主であり、独自の削減対策を地球温暖化対策実行計画に組み込むことが難しいことなどをを明らかにした。 2.滋賀県高島市を対象とした、集落レベルの対策検討のための集落カルテ開発に向けたアンケート調査の実施。R4年度に実施した、高島市の自治会単位を基本とする住民ワークショップの結果を元に、滋賀県高島市社会福祉協議会との共同で全自治会を対象としたアンケート調査を実施した。結果、気候変動対策において炭素吸収の役割を担う森林資源を多く有する地域においては、少子高齢化人口減少が進んでおり、これら吸収源対策としての森林整備を行うことが困難な状況にあることを把握した。3.気候変動対策および影響に関する因果推移論を行うためのグラフデータベースの開発。気候変動による影響が顕在化しつつあることが指摘されており、気候変動対策においては緩和策のみならず適応策も重要であることが指摘されている。このようなことから、気候変動が地域社会にどのような影響を及ぼすのかについて、学術論文などから明らかになっている知見をもとに因果フローを整理したグラフデータベースの開発を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
滋賀県内の市町を対象とした、気候変動対策を集約するためのグラフデータベースの作成において、元となる気候変動対策に関する情報収集に時間を有した。また、市民社会レベルでの、気候変動対策の社会的受容性評価を通じた地域特性把握のための集落カルテ開発においては、新型コロナ禍の影響による地域との調整に時間を要したために、アンケート調査が1年遅れでの実施となった。
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今後の研究の推進方策 |
気候変動対策に関するグラフデータベースによる政策体系評価においては、滋賀県内市町の人口構成や産業構成、土地利用などの自然および社会経済データとの関係性を分析することで、地域特性が気候変動対策に与える影響の評価を実施する予定である。また、市民レベルでの、気候変動対策の社会的受容性に関する評価では、R5年度に実施したアンケート調査をもとに集落カルテの開発を行い、いくつかの自治会を対象に住民参加型ワークショップを通じて、気候変動対策の実行可能性などの面から地域特性を評価する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症対策のため、対面を予定していた研究メンバー間の打合せや研究会、市民参加ワークショップをオンライン開催に移行したことや中止、規模縮小になったことにより、旅費や会場費、ファシリテーターへの謝金などの執行が大幅に減少した。また、当該年度で実施を予定していた、集落カルテ開発に向けたアンケート調査の実施時期が遅れたため、分析が年度内で完了せずに、予定していた集落カルテをもとにした気候変動対策の実行可能性評価のための住民ワークショップが開催できなかったため、関連諸経費の執行が無かった。 本年度は、昨年度に実施できなかった集落カルテ開発と、これらをもとにした気候変動対策の実行可能性評価のための住民ワークショップを実施することから、昨年度に予定していた諸経費の執行を行う。
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