本研究の目的は、インドネシア共和国南スマトラ州における産業造林移住村を対象地として、人びとが不法耕作者化する歴史的・構造的要因を明らかにすることにある。調査の結果、土地紛争が①産業造林移住事業の制度設計上の不備(村建設時に住民の利用が認められる土地面積が定められ、その後の人口増に伴う土地需要増加に対応できない制度設計)、②産業造林企業による雇用機会提供の失敗、③ゴム買取価格の低下による土地需要の増加、④放置された森林火災跡地の利用を正当化する広く共有された農民のモラルエコノミー的倫理観(生成する慣習法)の存在など複数の要因が絡み合って生じていることがわかった。
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