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2023 年度 実施状況報告書

兼業稲作を主とする営農組合の持続可能条件の提示:日タイ事例の類型化を通じて

研究課題

研究課題/領域番号 21K12389
研究機関富山県立大学

研究代表者

星川 圭介  富山県立大学, 工学部, 教授 (20414039)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード集落営農 / 稲作 / 東北タイ
研究実績の概要

年度の前半は,前年度3月に実施した東北タイにおける営農組合の運営実態の概要に関する聞き取り調査結果の分析を進めた.組合長や理事らを対象とした前年度の調査では,各組合の農業機械保有や組合員の就農の概要に関する情報が得られており,これをタイ政府が公開する各営農組合に関する定量的情報と照合するとともに,大都市との距離など地理的立地条件を検討した.その結果,営農組合は機械の保有や組合員の農外就労状況に基づき,概ね「畑作・稲作複合専業型」,「都市近郊副業型」,「高付加価値志向型」の3タイプ,あるいは「農外就労・稲作複合型」を含めた3タイプに類型できることが明らかになった.この結果に基づき,組合員の営農状況について定量的かつ詳細な情報を得るため,9月と3月に前年の調査対象組合のうち,合わせて10組合を再訪し,各組合10名前後を対象とした組合員に対する個別聞き取り調査を実施した.
また,前年度までの富山県砺波市での聞き取り調査および農業センサス分析に基づく砺波市内の集落営農組織について,タイ側の3ないし4類型との類似点と相違点に関する整理を行った.砺波市で「畑作・稲作複合専業型」に相当するのは,当初から少人数・大規模耕作を志向して立ち上げた農事組合法人や会社であり,世帯の農地を持ち寄る形で成立した集落営農組織は「都市近郊副業型」か「農外就労・稲作複合型」に相当する.花卉や軟弱野菜を組み合わせた「高付加価値型」を試みる組織も存在するが,労働力の点から持続性に問題を抱えている.若年層の就農の点で現状最も持続的とみられるのは,市街地に接する地域の「都市近郊副業型」であった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

新型コロナウィルス流行により現地情報収集活動ができなかったためR4年度までの進捗は当初予定より遅れがちであったが,R4年度末以降,集中的に現地調査を行い,必要なデータの収集をほぼ完了することができた.延長期間となるR6年度は成果の公表に向けた作業を進める.

今後の研究の推進方策

2023年度2回の東北タイ現地調査において収集した聞き取りデータを精査・集計し,最終成果取りまとめに向けた分析を進める.日本と同様に農村部における人口動態や地域の産業構造が就農・営農形態に強く影響していると考えられることから,Population Housing CensusやAgricultural Censusなど現地政府統計によるマクロ的数値との照合も行う.また日本の営農組合の状況については,農林業センサスの分析により富山県内の市町村別比較および北陸の県別比較を試みる.

次年度使用額が生じた理由

概ね現地における情報収集は完了しているが,年度中にデータのとりまとめが完了しておらず,次年度の論文費用および現地における報告や最終打ち合わせ旅費等を見込んでいる.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Synthetic aperture radar polarised backscattering behaviour in partially inundated agricultural fields2023

    • 著者名/発表者名
      Hoshikawa Keisuke、Phontusang Porntip、Katawatin Roengsak
    • 雑誌名

      European Journal of Remote Sensing

      巻: 56 ページ: 1~16

    • DOI

      10.1080/22797254.2023.2269305

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Waterborne Disease Risk Assessment and Mapping for a Floating Village by Combining 3D Hydraulic Simulation and Quantitative Microbial Risk Assessment2023

    • 著者名/発表者名
      Nakamura Takashi、Fujii Hideto、Watanabe Toru、Ly Sarann、Lun Sambo、Fujihara Yoichi、Hoshikawa Keisuke、Miyanaga Kazuhiko、Yoshimura Chihiro
    • 雑誌名

      Water

      巻: 15 ページ: 4199~4199

    • DOI

      10.3390/w15234199

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] タイの稲作営農組合と 砺波平野の農業2023

    • 著者名/発表者名
      星川圭介
    • 雑誌名

      砺波散村地域研究所紀要

      巻: 40 ページ: 33~40

  • [学会発表] タイの稲作営農組合と砺波平野の農業2023

    • 著者名/発表者名
      星川圭介
    • 学会等名
      砺波市立散村地域研究所例会
    • 招待講演
  • [学会発表] 部分湛水を生じる天水田における後方散乱係数2023

    • 著者名/発表者名
      星川圭介,Porntip Phontusang
    • 学会等名
      日本写真測量学会 令和5年度秋季学術講演会

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公開日: 2024-12-25  

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