研究課題/領域番号 |
21K12404
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
安岡 かがり (四方篝) 京都大学, アフリカ地域研究資料センター, 特定研究員 (80750421)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | アグロフォレストリー / 熱帯林 / 世界商品 / アフリカ / 東南アジア / ラテンアメリカ / カカオ・茶・コーヒー |
研究実績の概要 |
本研究の目的はカメルーンのカカオ・アグロフォレストリー、タイのチャ・アグロフォレストリー、パナマのコーヒー・アグロフォレストリーを対象とし、それぞれの地域のアグロフォレストリー・システムにおける生態景観の多様性の創出にかかわる要因を、生態学的側面や社会・経済的背景をふまえながら明らかにすることである。 令和4年度は、令和3年度に引き続き新型コロナウイルス感染拡大の影響により、予定していた現地調査を実施することができなかったため、関連分野の研究者と論文執筆をすすめ、共著論文(タイトル「アグロフォレストリーとともに生きる:チャ・コーヒー・カカオ栽培の事例より」)として出版した。 論文では、3つの地域における事例;タイのチャ栽培、パナマのコーヒー栽培、カメルーンのカカオ栽培を紹介しながら、アグロフォレストリーが日々の暮らしのなかでどのように育まれ、利用・維持されているのかということについて、地域固有の背景とその動態にも着目しながら論じた。 アグロフォレストリーの実践にみられる特徴は、それぞれチャ・コーヒー・カカオの生産と他の生業との両立がしやすく、ほどほどの管理によって維持しておくことができる「気楽さ」や、状況に応じてその役割を変化させることのできる「融通性」によって特徴づけられるものであり、綿密なデザインに基づいて完成型を目指すようなものではない。アグロフォレストリーは環境修復や貧困緩和などの有益な結果が期待できるという観点からその特効薬と捉えられがちであるが、それが有効に作用するかどうかは、人びとが暮らす地域固有の自然との関わりあいのなかで培われた在来の知識や知恵・技術を発揮させつつ、社会の変化に応じてカスタマイズしたり、リメイクしたりすることのできるダイナミックな農業空間としてアグロフォレストリーを運用できるかどうかにかかっているのではないかということを指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大のため、予定していた現地調査を実施することができず、研究計画に変更が生じたため。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画からは、遅れてしまったが、対象地域における現地調査を実施し、データの収集と分析をおこなう予定である。 また、文献研究や関連分野の研究者との議論をとおして、「世界商品をめぐるグローバル・ヒストリーとアグロフォレストリー(仮題)」と題した論文を執筆し、世界商品の流通とそれらの生産地域における土地利用・生業との関連について、歴史的変遷を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、海外での現地調査を実施することができなかったため。
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