研究課題/領域番号 |
21K12416
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
佐藤 靖明 長崎大学, 多文化社会学部, 准教授 (30533616)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | バナナ / 地域間交流 / 人類学 / 人―植物関係 / グローバル化 |
研究実績の概要 |
グローバル化の急速な進展をめぐる人―植物関係の研究において、それらの動向を理解するための一般的な方法や思考の枠組みはまだ確立していない。そこで本事業は、世界で広く栽培・利用され、グローバリゼーションの重層性が比較的明瞭にあらわれているバナナを事例にとりあげることで、近年の現象がどのような諸要素の関係によって展開しているのかを描写することを目的としている。2022年度は、2021年度での調査研究を一部引き継ぎ、おもに以下の4つをおこなった。 1.利用面における伝統とグローバリゼーションの関係:ケーススタディとして、バナナの葉を活用する技法・技術の詳細とその広がりについて、科学的知見や、報道などに注目して文献調査を続けた。 2.日本における栽培の展開:国内のバナナ農園の生産者を訪問して、栽培や出荷をはじめて現在に至るプロセスについての聞き取り調査を実施した。2022年度は本州に加えて四国、南西諸島の農園にも訪問するとともに、バナナの生産者ネットワークにアクセスし、インタビューをおこなった。また、新聞データベースを活用し、国産バナナの近年の展開について俯瞰的に把握した。 3:ウガンダにおける現地調査の準備 コロナの感染拡大が収束しつつある中で、研究対象国であるウガンダに渡航し、研究のカウンターパートとの打ち合わせや調査環境の整備をすすめるとともに、予備調査をおこなった。 4.遺伝子組換えバナナの事例:グローバル化の進展に関連して、ウガンダ政府の研究所で実験中であり、一般栽培が可能となる見込みとなっている遺伝子組み換えバナナに対する農民の受容について、過去に現地調査した知見と先行研究を組み合わせて考察した。そして、この成果を『アフリカ研究』誌に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染拡大が続いていて、海外での調査は予定よりも遅れているが、日本国内での調査が予想以上に進展しており、新たな知見がわかりつつある。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスによる行動制限が解除されつつあるため、国内と海外での現地調査の両方を積極的に推進していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、2022年度は海外、ならびに国内での現地調査が一部制限された。 2023年度、主に現地調査を実施する費用に「次年度使用額」を使用する予定である。
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