研究課題/領域番号 |
21K12420
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
黒田 賢治 国立民族学博物館, 現代中東地域研究国立民族学博物館拠点, 特任助教 (00725161)
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研究分担者 |
吉田 雄介 せとうち観光専門職短期大学, 観光振興学科, 准教授 (20469240)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 中東 / 日本 / 近代 / 地場産業 |
研究実績の概要 |
研究初年度にあたる本年度においては、中東各地域との貿易関係の全体像の把握に努め、明治15年以降の『大日本外国貿易年表』および明治27年以降の『大蔵省年報』さらには明治38年以降の『神戸港外国貿易概況』、などの各港貿易の輸出入統計に加え、明治26年以降の『大阪外国貿易調』や『神戸商業会議所報告』などの商工会議所による調査報告を資料として埃及(エジプト)、土耳古(トルコ)とオスマントルコ支配下のアナトリアおよびアラブ地域を意味する亜細亜土耳古、さらには波斯(ペルシア)との輸出入関係について網羅的な把握に努めた。これら貿易統計資料に関する具体的な成果発信について、次年度に研究資料として公開する準備に務めた。また明治期から大正期にかけた日本と中東との政治経済的関係の動向の背景について、外務省関連資料を整理するとともに、日本企業による中東関連事業についても調査を進めた。その結果、成果発信として大正4年に実施されたシンガポール~ジェッダ間の日系企業による巡礼船事業、またイランとの正式な国交樹立に至るまでのプロセスを検討し、経済と政治とが混然となるなかで政府機関と企業が密接な関係を築きながら日本が既存の世界システムに参入する過程で中東地域に進出していったことを論文分として執筆した。さらに近代の世界システムに参入する以前の中東地域に関する日本の知的状況についても、二つの論稿として取りまとめ、それぞれ分担執筆として成果公開を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究実績の概要で述べたように、本年度においては貿易統計資料の把握に努めるとともに、研究成果発信として研究対象期間である近代の幅を広げながら政治経済的な背景に関する論考を刊行していった。 貿易統計資料の整理については、その成果の一部をトルコとエジプトに関しては、ワークショップでの報告で利用した。またペルシアについては、『台湾外国貿易年表』にまで広げ、台湾とのアヘン交易についてのみ統計上把握できたものの、他の雑品についてはインドを経由した交易が多数の資料で示唆されていたものの統計的には把握が困難であることが判明した。加えて、資料から把握できた雑貨関連の輸出品が、当初想定していたよりも多岐にわたっており、小規模な関西地方における製造が中心であり、かつ時代的な変化が激しく、生産構造の変容と輸出に関する関係性が高いことがわかった。しかし代表者の個人研究としては把握困難であることから、新たに研究分担者として地理学の観点から長期的にイランを中心とした中東地域を研究しつつ、近代の関西地方の雑貨の研究に従事する吉田雄介氏を研究分担者に加えることで、研究到達目標の達成のための研究体制の構築を図った。 以上のように、本年度の実施した資料読解と研究成果発信の状況、さらには研究過程に鑑みた再帰的研究体制の構築という三つの点を総合的に鑑みて、現在までの進捗状況について、当初の計画以上に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
現在まで基本的な研究計画については、順調に進展しており、かつ研究成果発信については当初の計画以上に進んでいることから、今後も現状通りに資料読解を進めながら研究成果の発信を進めていく。次年度においては、本年度に整理した貿易統計を具体的な成果として公表していくことが課題であるとともに、研究分担者とより密接に連携した研究活動の実施が必要と思われる。後者については、前半期に、研究分担者とともに相互の研究の進捗状況を把握する意味を含めて、他の研究グループも含めた研究会を組織し議論を重ねることで、研究の深化を図っていきたい。また次年度には、エジプトから日本に輸入されてきた繰綿と京阪神地域の紡績業の展開について検討することを予定しており、先述の貿易統計の成果とも関係させながら研究計画を推進していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の予防措置への影響として、国内での出張に関しても文書館や史料館での利用制限が生じたこと、出張可能な期間と予防措置に対する所属機関の方針などにより、予定していた国内旅費に残額が生じた。
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