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2022 年度 実施状況報告書

東南アジア辺境地域における情報圏と社会の相互作用ー「持続可能な開発」との関係から

研究課題

研究課題/領域番号 21K12428
研究機関岡山大学

研究代表者

生方 史数  岡山大学, 環境生命科学学域, 教授 (30447990)

研究分担者 祖田 亮次  大阪公立大学, 大学院文学研究科, 教授 (30325138)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード東南アジア / 辺境社会 / 情報圏 / 持続可能な開発 / ポリティカル・エコロジー
研究実績の概要

本研究では、東南アジア辺境地域における森林保全や一次産品の認証など、「持続可能な開発」に関連する事業を事例に、国家・市場・地域社会を構成するアクターが情報圏をどのように拡張したのか、またそれらが互いの情報圏や現実社会とどのように相互作用しているのかを検証している。
2年目である2022年度も、上半期はコロナ禍で現地調査が著しく困難であった。夏以降にようやく現地調査を開始することができたものの、まだ空白期間を埋める程度の限定的なものにとどまっている。期間中の主な活動は下記2点に大別できる。
第1に、初年度に引き続いて国内でオンライン研究会を計6回開催し、ベトナム、インドネシア、フィリピン、マレーシア、日本などでの関連事例を検討するとともに、並行して関連研究に関する文献サーベイを行うことで、研究枠組みをさらに精緻化する作業を行った。初年度に特定した理論的な重点領域のうち、特に情報圏の概念について深掘りするための枠組みや道具立てについて議論した。その結果、情報圏が情報基盤の整備によってつくられる過程を整理するとともに、情報圏がエージェンシーや社会関係の変容を介して辺境統治の変容へとつながる過程を考察し、その背景にある要因や論点を地域や事例ごとに導出することができた。
第2に、2022年9月にマレーシア・サラワク州で、コロナ禍で現地に行けなかった期間の空白を埋めるための現地調査を行った。その結果、コロナ禍でのパーム油業界の動向や様々な困難の状況、パーム油認証制度の普及状況、認証制度に対する先住民団体の取組みの進展状況と新たなイシューなど、コロナ禍という特殊な状況で起こった変化に関する情報を得ることができた。今後はもう1つの調査地であるベトナムにおいて同様の現地調査を行うとともに、両地域で再調査をして上述した情報圏を介した辺境統治の変容に関して考察していくつもりである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2022年度の上半期まで、コロナ禍のために海外での現地調査が不可能であったため。夏以降に現地調査が可能になり調査を行うことができたものの、現地訪問ができなかった期間のフォローアップに留まっており、本格的な調査は最終年度である次年度に持ち越すことになった。
もちろん、当初からこのような状況はある程度想定していたため、上半期は初年度同様に研究会開催、文献サーベイ、既存の情報の整理などに注力した。このため、理論的な枠組みの精緻化に関しては進展させることができたが、それでも全体的な研究進行上の遅れは否めない。

今後の研究の推進方策

これまで行ってきた研究会や文献レビュー等の活動を継続しつつ、昨年度下半期に再開した海外現地調査を本格的に始動する。また、研究会のなかで同時並行的に研究の総括的な議論を行うとともに、今年度中に学会でセッション発表を行うことで、最終的な成果発表へとつなげていく。

次年度使用額が生じた理由

昨年度の上半期まで、コロナ禍のために海外での現地調査が不可能だったため。2022年夏以降に徐々に調査ができるようにはなったが、予定されていたすべての調査(ベトナム2回とサラワクで2回)を行うまでには至らなかった。来年度はこれまでの遅れを取り戻すべく、調査を行っていく予定である。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 図書 (2件)

  • [国際共同研究] フエ農林大学/ホーチミン市人文社会科学大学(ベトナム)

    • 国名
      ベトナム
    • 外国機関名
      フエ農林大学/ホーチミン市人文社会科学大学
  • [国際共同研究] サラワク大学(マレーシア)

    • 国名
      マレーシア
    • 外国機関名
      サラワク大学
  • [雑誌論文] The Employment of Indonesians on Oil palm Smallholdings in Sarawak, Malaysia2023

    • 著者名/発表者名
      Soda, R. and Kato, Y.
    • 雑誌名

      Space, Society and Geographical Thought

      巻: 26 ページ: 19-30

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] マレーシア・サラワク州におけるインドネシア人労働者のインフォーマル化――在地アブラヤシ小農との関係から2023

    • 著者名/発表者名
      加藤裕美・祖田亮次
    • 雑誌名

      福井県立大学論集

      巻: 59 ページ: 105-131

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Paradoxes in Community-based Tourism Initiatives: Insights from Two Case Studies in Central Vietnam2022

    • 著者名/発表者名
      Tan, N. Q., Ubukata, F., and Dinh, N. C.
    • 雑誌名

      SN Social Sciences

      巻: 2 ページ: -

    • DOI

      10.1007/s43545-022-00370-3

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] A Multicriteria Approach to Assessing the Sustainability of Community-based Ecotourism in Central Vietnam2022

    • 著者名/発表者名
      Nguyen, T.D., Hoang, H.D., Nguyen, T.Q., Fumikazu, U., Vo, T.P.T., & Nguyen, C.V.
    • 雑誌名

      APN Science Bulletin

      巻: 12(1) ページ: -

    • DOI

      10.30852/sb.2022.1938

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] The Evolution of Community-based Tourism in Vietnam: A Critical Review of Policy and Research2022

    • 著者名/発表者名
      Tan, N. Q., Ubukata, F., and Dinh, N. C.
    • 学会等名
      The 23rd JASID Spring Conference
  • [学会発表] Transforming Forest Conflict in the Buffer Zone of National Park: Case Study at Gunung Gede Pangrango National Park, Indonesia2022

    • 著者名/発表者名
      Nuryanto, I. and Ubukata, F.
    • 学会等名
      The Asia and Pacific Conference 2022
    • 国際学会
  • [図書] 現代ベトナムを知るための63章【第3版】2023

    • 著者名/発表者名
      岩井 美佐紀
    • 総ページ数
      440
    • 出版者
      明石書店
    • ISBN
      978-4-7503-5529-0
  • [図書] 地理学事典2023

    • 著者名/発表者名
      公益社団法人日本地理学会
    • 総ページ数
      842
    • 出版者
      丸善出版
    • ISBN
      9784621307939

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公開日: 2023-12-25  

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