研究実績の概要 |
本研究は、東南アジアのLGBTQ(Lesbian, Gay, Bisexual, Transgender and Questioning/Queer)の権利を主張する社会運動(以下、LGBTQ社会運動)に着目し、量的テキスト分析(量的研究)とフィールド調査(質的研究)の双方向から多角的かつ学際的に分析することによって、現代インドネシアの社会動態の一側面を明らかにする。具体的には、東南アジアの大国インドネシアを対象として、①インドネシアにおけるLGBTQやその社会運動に対する国家による政策や宗教組織による対応(言説の変容)と、②LGBTQをめぐる報道トーンの変遷を明らかにすることで、国家や宗教勢力と、LGBTQの権利を主張する社会運動との多様な競合関係を浮き彫りにし、インドネシア社会の変容のダイナミズムを解明することである。 2023年度は、以下の2点の研究に取り組んだ。まず、量的テキスト分析を用いた計量分析の実施である。昨年度に引き続き量的テキスト分析を実施した。具体的には、Twitter上からLGBTQに関連するテキストを抽出し、辞書分析を行った。次に、フィールド調査である。2023年度は、8月にインドネシアのジョグジャカルタにおいて調査を行った。具体的には、インドネシアの宗教勢力、およびLGBTQの権利保護を目的とするNGO団体、国際的人権団体への聞き取りを実施し、昨今のインドネシア社会におけるLGBTQを取り巻く状況についてのインタビューを行った。
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