研究課題/領域番号 |
21K12437
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研究機関 | 亜細亜大学 |
研究代表者 |
新井 健一郎 亜細亜大学, 都市創造学部, 准教授 (70548354)
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研究分担者 |
林 憲吾 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (60548288)
三村 豊 総合地球環境学研究所, 研究基盤国際センター, 研究員 (90726043)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 新興国都市 / ジャカルタ / ジャボデタベック / 成熟 / 人文情報学 / ミクロ・マクロ融合 / アトラス |
研究実績の概要 |
ジャカルタ都市圏は、世界最大規模の人口を擁するメガシティである。人口流入が鈍化し首都圏生まれ世代が主流化する21世紀、住民の生活様式と都市のあり方がどのように変わったか、センサス等の統計データと衛星画像等による土地利用の分析の組み合わせによって実証的に明らかにすること、それが本研究事業の目標であった。検討の末、統計データについてはセンサスよりはるかに多様な質問項目をもつ村落潜勢力統計(PODES)を利用した。2000年から2020年のジャカルタ都市圏の約1200枚のテーマ別地図を作成し、そこから読み取れる知見とその意義について、現地フィールド調査の経験のある複数の研究者が集まり、議論を重ねた。また、異なる居住環境を類型化し、首都圏における各類型の分布のあり方を250メートル四方のグリッド単位で分析した。 最終年度である3年目は研究会合を着実に重ね、その成果を本年3月に『ジャカルタ・アトラス-地図で見る都市の成熟』として自費出版した(ISBN:978-4-910834-34-4)。印刷版の販売は今年夏から限定的な受注販売方式で行い、代わりに電子書籍は無料で公開する予定である。 本研究により、個人トイレや街灯の急激な普及など、先行研究でほとんど注目されず、しかし社会史的な意味をもつ大きな変化を明らかにできた。また、飲料水や調理熱源の供給を地下配管網ではなく小型容器の配送網で対応するなど、統一的なインフラ整備を前提としない分散型の解決が広く見られる点も明らかにできた。公共・民間の規模の異なる様々な担い手が、教育、買い物の場、医療や保健衛生等生活に欠かせぬサービスを都市圏の中心から辺縁まで提供し、人々の生活・生存を可能にしていることも明らかにできた。これらの知見は、新興国都市の独自の成熟のあり方の特徴やその課題に関する今後の議論・研究への有益な貢献となっていると我々は考えている。
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