研究課題/領域番号 |
21K12438
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
島田 美和 慶應義塾大学, 法学部(日吉), 准教授 (60580157)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 水利 / 永定河 / 水利技術者 / 蒙疆 |
研究実績の概要 |
本年度は、新型コロナウイルス感染状況によって海外への渡航が厳しい条件の下、国内のフィールド調査と図書館での資料調査を行い、それらを踏まえて国際学会への参加や国内での研究会での報告を行った。 国内フィールド調査については、日本の水資源管理について理解するために、仙台市における大崎耕土で南原穴堰・ぬるめ水路等を見学し、東北地域における日本の水資源管理について知見を深めた。資料調査については、東洋文庫や京都大学文学研究科図書館や人文科学研究所図書室で永定河の治水に関する資料を収集した。加えて、台湾台北市にある中央研究院近代史研究所档案館や国史館の永定河治水に関する档案をオンライン上で収集した。 これらの資料収集をまとめ、以下の国際学会と国内の研究会で2つの報告を行った。一つはthe Association for East Asian Environmental History (東アジア環境史学会)が主催する2021年度の年次大会で、2021年9月8日に“Japan's Water Systems in the Yongding River Basin During the Sino-Japanese War: Conflict Between North China and “Mongolia and Xinjiang”(「日中戦争期中国華北地域と「蒙疆」における日本の永定河治水」を報告した。そこでは、日本人水利技術者による中国華北や蒙疆での活動と戦後の日本の水利政策における彼らの思想と営為の連続性について議論した。もう一つは、大谷大学で開催された中国水利史研究会で12月5日に「国民政府期の永定河治水 - 華北水利委員会による官庁ダム建設計画を中心に」を報告した。ここでは、南京国民政府期の永定河上流域における治水計画について、主に官庁ダム建設計画を中心に初歩的考察を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染状況の緩和により、国内でのフィールド調査や資料調査が可能になったため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の調査により、国内の永定河治水に関する資料状況については概ね確認できた。今後は1年間アメリカ合衆国に滞在するため、当初の予定どおりアメリカ合衆国での資料調査を行い、永定河治水に関する国際的側面について検討を進めたい。滞在先のスタンフォード大学では、フーバー研究所や東アジア図書館、またカリフォルニアにあるUCLAなど他大学での資料調査を中心に行う。また、アメリカ合衆国の水利技術の伝播を調査するため、現地における水資源利用についてダム、クリーク、国立公園においてフィールドワークを行いその特色を検討する予定である。 帰国後は、台湾台北市の中央研究院や国史館での史料調査を継続して行い、国内における明治期以降の日本人水利技術者とその水利施設についても調査を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は新型コロナウイルスの感染状況によって、海外でのフィールド調査を行うことが出来なかった。そのため、その旅費およびフィールド調査補助のために現地で支払う謝金についての支払いが発生しなかった。 次年度以降の海外調査によって当該助成金を使用する予定である。
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