研究課題/領域番号 |
21K12439
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研究機関 | 津田塾大学 |
研究代表者 |
戸田 徹子 津田塾大学, 言語文化研究所, 研究員 (50183877)
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研究分担者 |
増田 直子 津田塾大学, 言語文化研究所, 研究員 (70964310)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | クエーカー / AFSC / 国際支援 / 戦後復興支援 / LARA / 日系アメリカ人 / 再定住支援活動 / 戦時転住局 |
研究実績の概要 |
本研究では令和4年度から米国における日系アメリカ人の強制収容後の再定住も研究対象に含めることとし、新しく研究分担者を加えた。研究対象追加のため、より広範な資料収集が必要となったが、コロナにより海外渡航が制限されていた。漸く海外出張が可能となり、フィラデルフィアにあるAFSC本部資料室とハヴァフォード大学クエーカー・コレクションで研究代表者と研究分担者が共同で資料の調査と収集を実施した。AFSC本部資料室では主としてAFSC職員の報告書や書簡と関係委員会の議事録を、クエーカー・コレクションにおいては主としてエスター・ローズの書簡を複写した。さらに、それぞれの資料室スタッフとネットワークを構築することができた。現在、入手した新資料を整理、分析中である。
具体的な研究成果として、研究代表者はフィラデルフィア日米協会ならびにペンシルベニア大学の関係者と共同で、Friendly Connections: Philadelphia Quakers and Japan since the Late Nineteenth Century を出版した。この本は、日米関係におけるクエーカーの貢献として、AFSCの活動(国際交流、人道支援、戦後復興)を紹介している。研究分担者はこれまでの知見に前述の新資料の検証結果を加え、所属大学の紀要に「アメリカ・フレンズ奉仕団の日系アメリカ人再定住支援」を著した。この論文はホステル運営を中心に、AFSCの日系アメリカ人再定住支援活動を解明する内容となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究テーマの追加に伴い、新資料の開拓が急がれていたにも関わらず、アメリカにおける資料調査の実施がコロナのため遅れた。さらに、AFSC本部資料室においては研究対象時期の委員会組織の記録が未整備で、アーキビストからも情報が得られず、いまだ模索状態にある。資料整理を急ぎたいところであったが手間取っており、時間が必要となっている。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は本科研の最終年にあたる。AFSC本部はリモート業務の拡充により大幅な人員削減が進行中で、同資料室の閲覧環境はますます限定的になっている。それゆえ専任アーキビストが在職している間にできるだけ資料を入手しておく必要があるので、まずはこれを優先したい。研究責任者は、戦後日本におけるAFSC活動の二面性(復興と改革)を検証する手がかりとして、AFSCが考案した日本戦後復興計画と実際のLARAのプログラムの相違の分析を急ぐこととする。研究分担者は、米国における日系人の再定住支援に関して、AFSCとWRAなどの政府機関との関係性を解明する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外調査の実施が遅れたことが主たる理由であり、令和5年度内は資料の収集と整理の作業に終始せざるをえなかった。令和6年度は、論文作成に必要な参考図書の購入やPCの更新に科研費を使用予定である。さらに「7.現在までの進捗状況」と「8.今後の研究の推進方策」に述べた事情により、必要に応じて、再度、AFSC本部資料室で資料調査を実施する。
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