研究課題/領域番号 |
21K12452
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
寺岡 伸悟 奈良女子大学, 人文科学系, 教授 (90261239)
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研究分担者 |
櫻井 清一 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 教授 (60334174)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | コロナ / 農村観光 |
研究実績の概要 |
1、観光研究の進展状況について学会の動向や発刊された著書論文などからフォローした。社会研究において新型コロナ蔓延以前に評価の定着していた社会理論が少なくとも二つある。一つはJ.アーリ、M・シェラーらによって提唱された、流動性を基盤とした社会認識である「モビリティ・パラダイム」である。今一つは、社会を人や物など異種混交のネットワークとして捉えるアクターネットワーク理論である。これらを「地域性」や「距離感」と深い関わりのある農村観光と結びつけた考察を奈良県内の事例調査の結果などをもとにおこない、「旅住(者)」という概念とその戦略性についての考えを試論的に提出した(寺岡2022)。 2、国内で新型コロナが流行し社会問題化し始める2020年から2021年12月までの社会論調の変化を記録し明らかにすることを試みた。具体的には観光系の業界紙と農村・地域系の雑誌記事において「コロナ」「農村」「地域」のワードを含む記事タイトルを抽出し通時的に並べて一覧表を作成し、発表した。この作業によってある程度の、2つの業界でのコロナと観光、農村への捉え方の変化が推察された。 3、コロナ下で困難に直面した農村観光事業者を対象にしたインタビューの内容について共同研究者と議論をし、経済学的な側面と社会学的側面の両方を含むインタビュー項目案を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画段階から、初年度は本格的な調査研究に向けた準備的一年と位置づけていた。そのなかで成すべきこととして、コロナ下の農村観光に関する研究の動向や理論的予備考察、さらに社会の動向の把握をそれぞれ文献読解や関連雑誌記事検索などで実施できた。また事業者へのアンケート項目は慎重な検討を要するが、この点も共同研究者との議論により多面的な項目案が作成できた。
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今後の研究の推進方策 |
依然新型コロナが蔓延しており、対面型のインタビュー実施については、対象事業者の方の年齢、基礎疾患の有無、コロナ下という「異常事態」のなかでの事業運営ということを考慮にいれて慎重に進めていきたいと考える。また初年度で、コロナ蔓延期間の観光、農村地域づくりの二つの分野の雑誌記事の一覧ができたのでこの分析を深めていきたい。この点については、オンラインでも共同研究者と議論や分析が可能であると考えられるので、場合によってはこちらを優先し全体として計画を進行させていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ肺炎の影響で、予定していた対面の打ち合わせ、および出張調査が延期もしくはオンラインとなったため次年度使用額が発生した。しかし対面での打ち合わせや視察出張は必要であるので、これらは次年度計画のなかに繰り込んで実施する予定である。
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