研究課題/領域番号 |
21K12480
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
足立 基浩 和歌山大学, 経済学部, 教授 (30283948)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 新型コロナウイルス / 観光需要の推計 / モランのI統計量 / 空間計量経済学 / 地理情報システム / 主成分分析 |
研究実績の概要 |
本年度はコロナの影響を考慮した観光需要モデルの導出を試みた。また、新型コロナウイルスの感染状況、地理的な分布についてモランのIの統計量を用いた分析を行った。 本研究では、コロナが徐々に収束する中で、地方都市において地価を上昇させる要因の一つに観光的需要を重視している。特にその原動力となる特定地域への観光需要の測定を空間計量経済学の枠組みから分析を行うものであるが、必要に応じて人工知能などを用いた分析なども加えたい。具体的には国内数か所の観光地における国内観光の需要総数予測について、競合関係、為替レートの動向、近隣地理データ(連鎖効果)を参考にモデル化を行っている。ただし、インバウンド観光が現時点ではほぼ皆無であり、国外客の需要モデルの構築は難しく、さしあたり国内客を対象とした分析を行いたい。
主な研究業績として、①足立基浩「新型コロナウイルスの空間的創刊に関する分析ー第1波、第2波に関する分析‐ 和歌山大学経済学会 経済理論 第405号 2021年6月、また、②「新型コロナウイルス禍における自治体の各種補償(助成金)に関する分析」(足立基浩 上野美咲 松田桃子)和歌山大学経済学会 研究年報 第25号 2021年9月、などがある。また、地方都市の中心市街地地区の需要分析などを行ったものとして、③「まちづくりの統計学」 宇都宮浄人、多田実編著 (第13章シャッター通り再生に統計を活かす データを用いた沖縄市の分析を担当(pp158-166)」(学芸出版社、2022年2月)を執筆した。2021年度に執筆したこれらの論文等は、新型コロナウイルスの感染者の人口分布の特徴などについて基礎研究であり、今後の観光需要把握に貢献できるものと考えられる。今後はプログラム「R」を用いて需要関数推計モデルの開発を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍において、現地調査などはできなかったが、初年度である2021年度は主に文献サーベイや、新型コロナウイルスの感染者の空間的分布の把握に努めた。地理情報システムを用いて、観光地として知られる北海道の富良野市や高知県高知市など数か所においてデータを用いた購買活動などに関する分析も行った。空間計量経済学に関する文献サーベイを行い、また、今回の研究テーマに関する学術論文や著書も合計3本執筆した。研究はおおむね順調といえる。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度4月時点において、国内観光客の動向を中心に観光需要のモデル化を行いたい。特にコロナ禍においては「近隣観光」に人気が集まり、たとえば首都圏では千葉県、関西圏では和歌山県などが集客に成功している。このように都市における「大都市からの隣接性」を一つの手掛かりに、近隣観光の特徴を踏まえたうえで観光需要モデルの構築を行いたい。さらに、コロナにはいくつかの波が存在するが、こうした波の存在と観光の動向についての分析も必要である。外的要因と考えられる変数をモデルに取り組み、実証分析などを行う予定である。さらに、2022年の全国における新型コロナの感染状況にもよるが、現地調査が可能であれば行政などへのヒアリング調査などを行うことで、より精緻なモデル構築を目指したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度の特に6月からのコロナ禍(緊急事態宣言の発出)において、予定していた国内の実地調査やそれに伴う必要機器の購入などが行えず、使用しない金額が生じた。2022年度は、コロナ禍が収まりつつあるため、現地での調査やそれに必要な機器などを購入する予定である。
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