研究課題/領域番号 |
21K12481
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研究機関 | 追手門学院大学 |
研究代表者 |
藤田 武弘 追手門学院大学, 地域創造学部, 教授 (70244663)
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研究分担者 |
八島 雄士 和歌山大学, 観光学部, 教授 (00320127)
大浦 由美 和歌山大学, 観光学部, 教授 (80252279)
岸上 光克 和歌山大学, 食農総合研究教育センター, 教授 (20708002)
藤井 至 大阪商業大学, 経済学部, 講師 (30832703)
貫田 理紗 島根県中山間地域研究センター, 地域研究スタッフ, 研究員 (00840050)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 関係人口 / 都市農村交流 / 鏡効果 / 地域内再投資力 |
研究実績の概要 |
前年度に整理した関係人口の定義に関する各学問領域における研究の問題点や課題についてのサーベイを引き続き行った。とりわけ今年度においては、地方創生政策の一環として「関係人口の創出」に対する国および自治体の関心が高まり、関係人口のタイプやその創出意義に関する情報発信が各所で行われたことから、それらの政策動向についても情報収集と共有に努めた。 また、年度後半になって、コロナ禍の収束が見通せるようになったことから、停滞していた研究対象地域における調査研究をようやく本格的に始動することができた。 具体的には、①棚田保全活動を通じた関係人口創出・6次産業化推進の意義に関する調査・分析(前年度までの保全組織の中間支援機能に関する調査を踏まえ、埼玉県「寺坂棚田」、京都府「毛原棚田」の実態調査を補足)、②農村ワーキングホリデーを通じた農家労働力補完効果と関係人口創出の意義に関する調査・分析(長野県飯田市農業課との共同研究により実施し、研究成果を施策見直しに反映)、③地域おこし協力隊(卒退者)の企業・創業実態に関する調査・分析(和歌山県紀美野町産業課との共同研究により実施、結果集約中)、④農家レストランにおける地域資源循環に関する調査・分析(和歌山県高野町の宿坊における精進料理の食材調達システムの結果を援用)などの成果が集約されつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
年度半ば以降に、新型コロナウィルスの感染拡大状況が鎮静化したことを受けて、研究対象地域からの協力が得やすくなったことに伴い、①棚田保全活動:参加・交流型、②農村ワーキングホリデー:反復参加・就労型、③地域おこし協力隊:直接寄与型、④農家レストラン:地域資源活用型、に関する調査が進み、分析結果が得られつつある。 したがって、進捗状況を「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本来は最終年度の取りまとめと補足調査を中心に進める予定であったが、分担事項によってはまだ本格的な調査が開始されたばかりという研究も残されていることから、コロナ禍による「遅れ」をどれだけ取り戻せるかが最も重要である。 具体的には、次のとおり。①棚田保全活動:本調査はほぼ終了したことから、保全組織(中間支援組織)の協力を得て、参加・交流型「関係人口」と地域住民との価値共創実態に関する取りまとめを行う。②農村ワーキングホリデー:本調査はほぼ終了したが、労働力補完システムとして注目される各種の「援農(有償・無償のボランティア)」システムとの比較において、反復・就労型「関係人口」と農家・地域農業との価値共創実態に関する取りまとめを行う。③地域おこし協力隊:回収中のアンケート分析と補足調査の実施を通じて、直接寄与型「関係人口」と地域住民(コミュニティ)との価値共創実態に関する取りまとめを行う。④農家レストラン:本調査はほぼ終了しているが、利害関係者(農協・仲卸業者・納入業者)に対する補足調査を実施し、地域資源活用型「関係人口」の創出効果の検証を試みる。 以上を踏まえて、「ツーリズム・テロワール」価値概念が価値共創に資する役割や有効性を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度途中までコロナ禍の影響が残り、実施予定であった一部の事例対象地域への調査(対面)が未消化のままとなったことが原因である。一部は調査対象地域を変更するなどして対応したが、とりわけ「旅費」として消化できなかったことが大きく影響した。 次年度は、調査対象地域への移動や現地での協力に対するハードルがなくなると考えられることから、今年度未消化予算を含めた早期執行に努める。
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