研究課題/領域番号 |
21K12483
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
神谷 大介 琉球大学, 工学部, 准教授 (30363659)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 観光危機管理 / 津波 / 無電柱化 |
研究実績の概要 |
本研究では,沖縄県八重山地域を対象として,Wi-Fiパケットセンサーおよびスマートフォンアプリ位置情報を用いて観光客の滞留および移動を推計した.さらに,国勢調査等各種社会統計資料を用いて島民の滞留を時間帯別に推計した.これらの結果を用いて,島民による観光客への呼びかけとその効果を計測した.さらに,複数のシナリオシミュレーションによって観光客と島民の避難人数をリンク別に集計した.この結果は,避難経路としての重要性をリンク別に扱えることを意味している. 次に,無電柱化施策との関連性より,防災の観点から無電柱化すべきリンクをあきらかにした.無電柱化は景観・交通安全・防災の観点から進められるべきであることは国土交通省より示されているが,その優先順位のつけ方は明らかになっていない.さらに,景観は地価の情報などにより評価がなされているものの,防災の観点からの試みはほとんどなされてない.この状況に鑑み,本研究では,避難経路の重要性という観点から無電柱化優先路線を明らかにした. さらに,観光客と島民の全体的な分布を表現した.この結果は避難誘導の可能性の可否を検討するうえで非常に重要なものとなる.具体的には,観光客に対して島民が少ない場合は避難誘導が困難な場所であり,地元民が行かない観光地などがここにあたる.この場合は避難サインを多くするなどの施策が他地域よりも必要である.一方で,島民が観光客に対して一定程度存在するならば,島民への観光危機管理への協力により,避難がスムーズになることが期待できる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
住民および観光客の避難シミュレーションを行い,避難経路の重要性評価まで行っている.観光流動の方法として,これまでは自ら設置したWi-Fiパケットセンサーやデータ購入をしたスマートフォンアプリ情報を用いている.しかし,対象地域のビジターズビューロなどと連携することにより,観光MaaSとの取り組みの可能性が一定程度示されてきた. 当初よりも観光事業者とのかかわりも深くなってきており,順調に進展していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
避難シミュレーションに加え,観光客と島民の重なり合いについて検討を行う.具体的には,スマートフォン位置情報をもとに,数理生態学などで用いられているニッチ重なり合い指標を用いることで,住民による観光客の誘導が可能な時間や場所を特定する.さらに,誘導が困難な地域においてはサイン計画等を検討することとする.
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