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2021 年度 実施状況報告書

ユニバーサルツーリズムの環境整備に向けた統一規格の策定に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K12491
研究機関富山国際大学

研究代表者

一井 崇  富山国際大学, 現代社会学部, 講師 (00844599)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワードユニバーサルツーリズム / 心のバリアフリー / 障害理解の醸成 / 合理的配慮 / 障害当事者の余暇保障
研究実績の概要

本年度は研究計画に従い、次の2つの研究課題について取り組んできた。
【研究課題Ⅰ:実践的な課題へのアプローチ】については、2022年度以降の調査の準備段階として実施主体となるNPO法人・富山ユニバーサルツーリズムーセンターとの定期ミーティング(月1回)を開催すると共に、ユニバーサルツーリズム(以下、UT)に関するモニターツアーや県内主要施設のバリアフリー調査を実施し、富山県におけるUTの実態把握と調査方法に関する議論を進めてきた。また、研究協力者である久保田美穂子・亜細亜大学准教授、視覚障害当事者である広瀬浩二郎・国立民族学博物館准教授とも定期的にミーティング(月1回)を開催し、UTに関する概念的な整理を行ってきた。
当初予定していた東京パラリンピック視察および関係者への聞き取り調査については、東京での新型コロナウィルス蔓延に伴い、同大会が無観客開催となった状況を踏まえ、2021年度は実施を見送った。同調査は、研究期間内に改めて実施する予定である。
【研究課題Ⅱ:概念的な課題へのアプローチ】については、関連書籍を中心に先行研究の整理を進めている。また、2021年7月に開催された日本観光学会・第114回大会(オンライン)において「ユニバーサルツーリズムにおける『心のバリアフリー』の課題と展望-富山県における『触れて感じるモニターツアー』からの一考察-」と題し、研究発表を行った。同発表では、2021年3月に富山県で実施した視覚障害者を対象とするモニターツアーを通じ導出された当事者ニーズの把握やツアー造成時における課題を明らかにした。また、障害理解の醸成に対するUTの有効性や観光分野におけるUT対象者への合理的配慮のあり方、「心のバリアフリー」という抽象的な概念の検証などについて学会参加者と意見交換を行い、申請者自身の問題意識を焦点化した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2021年度については、主に2022年度以降の調査に先立つ基礎研究期間として関連文献・資料の整理を行った。また、申請者が長年調査を実施してきたUT先進事例の対象地域である京都府与謝野町での関係者に対する聞き取り調査を行ったほか、研究協力者である広瀬浩二郎准教授が視覚障害当事者の視点から企画し、国立民族学博物館で2021年9月~11月末に開催されたユニバーサル・ミュージアムの特別展を見学し、UTの可能性や今後の展望について広瀬准教授、久保田准教授ら関係者と意見交換を行い、知見を共有した。
当初の計画に比べ、若干実施時期等に変更はあるものの、全体のスケジュールとしてはおおむね順調に進展しており、2022年度以降の調査実施に向けての準備も進めている。東京パラリンピック関係者への聞き取り調査については、研究期間内に改めて実施する予定である。

今後の研究の推進方策

当初の研究計画では、【研究課題Ⅰ】については2022年度以降、肢体、知的、視覚、聴覚各障害それぞれの当事者を対象にUTの体験型観光のモニターツアーを実施し、当事者のニーズを実証的に把握する予定であった。しかし、2021年度に実施した実践的、概念的な課題整理を踏まえ、2022年度については視覚障害に対象を絞り、調査を実施する予定である。これは、UTの実践的な課題を導出する上で、人が得る情報(認知情報)の8~9割を占めると言われる視覚に障害のある当事者のニーズや困難性が特に把握しづらいと判断したことによる。
それを踏まえ、申請者の所属大学のゼミ学生(6名)と研究協力者である久保田美穂子准教授のゼミ学生(21名)の協力の下、2022年9月に富山県立山町にて合同フィールドワークを実施する予定である。同フィールドワークでは、視覚障害者を対象とした「五感で感じる観光」をテーマとする着地型観光プランを作成し、同町の観光事業者や行政関係者らとともに同町の観光資源の新たな活用方法と視覚障害者を対象とした観光プランの実用化に向けた課題や可能性を検証する。また、富山ユニバーサルツーリズムセンター、研究協力者である広瀬浩二郎准教授、富山県在住の視覚障害者の協力の下、モニターツアーを実施し、作成したプラン内容を精査するとともにUT統一規格の策定に向け条件整理を行う。
これらの研究調査を通じ、障害当事者の余暇保障やUTを通じた観光振興の可能性を明らかにし、UT研究における新たな知見を導出する。
【研究課題Ⅱ】の海外調査については、特に受け入れ先である調査対象施設(イタリア:ボローニャ)のコロナ禍における状況が不確定であるため、2023年度以降に延期する予定である。また、2023年3月の国内調査については、状況が比較的把握しやすいことから現時点では実施する方向で調整を行っている。

次年度使用額が生じた理由

当初の研究計画では、【研究課題Ⅰ:実践的な課題へのアプローチ】として、2021年8月から9月にかけて開催された東京パラリンピックの視察および関係者への聞き取り調査を実施する予定であったが、コロナ禍において無観客での開催が決定し、調査の実現が困難であったため旅費および調査に伴う対象者への謝金等が減額となった。一方、関連書籍を中心に先行研究の整理に伴う資料収集に予算を配分し、使用した。その結果、生じた差額が次年度繰り越しとなった。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ユニバーサルツーリズムにおける「心のバリアフリー」の課題と展望-富山県における「触れて感じるモニターツアー」からの一考察-2021

    • 著者名/発表者名
      一井崇
    • 学会等名
      日本観光学会

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公開日: 2022-12-28  

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