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2023 年度 実施状況報告書

日本における第二波フェミニズムの成果と課題―理論的・実証的総括のために

研究課題

研究課題/領域番号 21K12500
研究機関一橋大学

研究代表者

佐藤 文香  一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (10367667)

研究分担者 千田 有紀  武蔵大学, 社会学部, 教授 (70323730)
永山 理穂  一橋大学, 大学院社会学研究科, 日本学術振興会特別研究員(DC) (90987752)
孟 令斉  一橋大学, 大学院社会学研究科, 日本学術振興会特別研究員(DC) (50987964)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2026-03-31
キーワードフェミニズム / ジェンダー / ウーマン・リブ / 歴史叙述 / インターセクショナリティ
研究実績の概要

令和5年度も、研究代表者、研究分担者、研究協力者3名に、所属研究室の大学院生5名、ゲスト数名を加え、計9回の研究会を開催した。
理論研究としては、二年半にわたってつづけてきたインターセクショナリティに関する重要文献の読解は前期で終了し、後期からは精選した論文を『インターセクショナリティ基本論文集』として刊行すべく、訳文検討会の開催に切り替えた。
実証研究としては、日本の第二波フェミニズムであるウーマンリブ運動にリアルタイムでかかわった経験を持つ女性たちへのインタビューを進めた。研究協力者の平井和子氏によって、安保・学生運動を体験し、子育てグループと共にウーマンリブにかかわるようになり、「満洲引揚げ」や「中国残留妻」などの支援活動をしつつ、黒川開拓団の「性接待」問題に先駆的に取り組まれた林郁さん、大学時代にウーマンリブと出会い、広島でミニコミ誌を発行し、女性史研究者の加納実紀代とも深く交流し、広島におけるフェミニズム運動の拠点となっている「加納実紀代記念館・サゴリ」を主宰する高雄きくえさんへの聞きとり調査を実施することができた。これらのインタビューのトランスクリプトを読むことは、特に若い世代の大学院生にとっては、第二波フェミニズムを生きた当事者たちの生の声を知る貴重な機会となった。
これらの研究成果は、研究代表者、研究分担者、研究協力者が各々の研究課題を追究する上でも基盤となるような共有知として蓄積されつつある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は、文献研究による理論研究とインタビュー調査による実証研究を柱としているが、いずれも順調に進行しており、計9回のオンライン研究会を定期的に開催することができた。

今後の研究の推進方策

令和6年度は、『インターセクショナリティ論文集』の刊行を目標に作業をつづける。選定した重要英語文献には、研究代表者・研究分担者が解説論文を付す予定であり、各々の訳文の精度をあげながら、訳註や解説の執筆に向けた準備をすすめていく。あわせて、インタビュー調査を続行し、第二波フェミニズムに携わった女性たち自身の経験について、語りの収集をつづける。

次年度使用額が生じた理由

コロナの余波で令和5年度に計画していたインタビュー調査が数件実施できなかったことから次年度使用額が生じた。調査は令和6年度に延期したので、確実な遂行に努める。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] Careers in “woman‐friendly” occupations: Investigating the role of beauty consultant in the era of neoliberalism2024

    • 著者名/発表者名
      Nagayama Riho、Sato Fumika
    • 雑誌名

      Japanese Journal of Sociology

      巻: 33 ページ: 27-41

    • DOI

      10.1111/ijjs.12161

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 子どもたちのトラウマと裁判所が命じる面会交流の実情――小児精神科医A医師へのインタビューを通じて2023

    • 著者名/発表者名
      千田,有紀
    • 雑誌名

      武蔵大学総合研究機構紀要

      巻: 32 ページ: 35-43

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 東北アジア地域における性的マイノリティの移動とネットワーク: 在日中国系移民を事例に2023

    • 著者名/発表者名
      孟令斉
    • 学会等名
      釜山・釜慶大学人文韓国プラス事業団第7回次世代育成大学院生フォーラム
  • [学会発表] 東アジアにおける性的マイノリティの移動と権力関係:中国系移民を事例に2023

    • 著者名/発表者名
      孟令斉
    • 学会等名
      日中社会学会35回大会
  • [学会発表] 化粧品企業の男性美容部員とジェンダー規範:キャリア・美容実践に関する解釈に着目して2023

    • 著者名/発表者名
      永山理穂
    • 学会等名
      国際ジェンダー学会2023年大会
  • [学会発表] 美容産業従事者は『美のシステム』といかにかかわるのか:美白・ジェンダーレスメイクに対する解釈に着目して2023

    • 著者名/発表者名
      永山理穂
    • 学会等名
      第96回日本社会学会大会
  • [学会発表] An Analysis of the Interpretation of Their Work By Male Salespeople Working for a Japanese Cosmetics Company: Are They Key Players in Changing Gender Norms?2023

    • 著者名/発表者名
      Nagayama, Riho
    • 学会等名
      XX ISA World Congress of Sociology
    • 国際学会
  • [学会発表] アメリカ、カリフォルニア州における子の監護をめぐる状況2023

    • 著者名/発表者名
      千田有紀
    • 学会等名
      武蔵社会学会
  • [図書] ジェンダー事典2024

    • 著者名/発表者名
      ジェンダー事典編集委員会、松本悠子、伊藤公雄、小玉亮子、三成美保、青山薫、足立眞理子、阿部浩己、石田佐恵子、伊田久美子、伊藤るり、井野瀬 久美惠、江原由美子、香川檀、堅田香緒里、川島慶子、川橋範子、川眞田嘉壽子、後藤弘子、佐藤文香、千田有紀
    • 総ページ数
      800
    • 出版者
      丸善出版
    • ISBN
      4621308874
  • [図書] つなぐ世界史3 近現代/SDGsの歴史的文脈を探る2023

    • 著者名/発表者名
      井野瀬久美惠、岡本隆司、岩下哲典、濱口裕介、惠谷敏規、小川原正道、鈴木淳、田城賢司、稲生淳、福家崇洋、大津留厚、小川唯、小浜正子、貴堂嘉之、渡辺延志、蘭信三、原田昌博、來田享子、油井大三郎、佐藤文香
    • 総ページ数
      256
    • 出版者
      清水書院
    • ISBN
      4389226037
  • [図書] 占領下の女性たち―日本と満州の性暴力・性売買・”親密な交際”2023

    • 著者名/発表者名
      平井和子
    • 総ページ数
      342
    • 出版者
      岩波書店
    • ISBN
      4000616013

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公開日: 2024-12-25  

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