研究課題/領域番号 |
21K12510
|
研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
眞城 百華 上智大学, 総合グローバル学部, 准教授 (30459309)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | アフリカ / 解放闘争 / 女性 / 女性兵士 / 紛争 / エージェンシー |
研究実績の概要 |
初年度の研究では、海外における研究がCOVID19の影響で実施できなかったため、主に文献研究と史料の分析を行った。エチオピアの80年代の女性兵士に関する史料の分析を進めた。また南アフリカのANCの女性兵士に関する文献研究も進めることができた。COVIDの影響で他の科研費とも成果公表が重複することになったが、英語によるエチオピアと南アフリカの女性兵士の比較を行った論文を執筆、刊行した。 調査を予定していたエチオピアにおいて内戦が新たに発生し、同紛争下で女性の甚大な被害が生じ、また同時に紛争への女性の参画が見られた。この状況は、本科研申請で言及した70年代、80年代のエチオピアの内戦下の女性が直面した課題と通底しているため、新たに本科研においても現在のエチオピアの紛争(ティグライ戦争)と女性に関して調査を行う。今年度もティグライ戦争に関する分析や発表を歴史研究も反映して講演、学会における発表を複数実施した。またNGOの講演会でも戦争に関して講演を実施し、研究成果の公表を広く実施した。他方で、同戦争の発生により、当初計画していたエチオピアならびにティグライ戦争に参戦したエリトリアにおける調査が今後数年にわたって困難となる可能性が高く、研究の方向性の再検討も行った。 紛争下の女性に対する性暴力に対する支援や現地からの報告などオンラインで開催される多様な国際会議にも多数参加し、情報収集を行っている。今後、海外渡航が可能となった際の調査準備ともなる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画においては海外における調査の実施を予定していたが、COVID19 の影響を受けて、調査が延期になったことで多少の遅れが出た。他方、資料の分析や文献研究などが進展したため、来年度以降の調査の下準備が進んだ。また本研究課題の申請後に調査地における紛争の発生という新しい研究課題に直面することになったが、その分析に注力したことで今後の研究の基礎となった。今次紛争の課題は、本科研の研究課題と通底しており、今後の研究において70年代~現在に至る長期的な紛争と女性に関する研究を実施することになる。
|
今後の研究の推進方策 |
22年度は、海外における調査の可能性が高くなっており、初年度の資料の分析や基礎文献購読を踏まえて、調査を精力的に進める。政情悪化でエチオピアにおける調査が不可能な情勢であるが、エチオピア以外の地域に離散した難民やディアスポラを対象として調査を行うことで研究を進めていきたい。南アフリカにも渡航予定であり、現地の感染防止などの規定も守りながら調査を進めたいと考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
22年2月~3月にかけて海外における調査を計画していたが、予期していたよりもCOVID19の影響が拡大し、渡航できなかったため。22年度には海外調査の可能性が高まっているため、次年度に繰り越し研究を進める。
|