研究課題/領域番号 |
21K12518
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
石井 香江 同志社大学, グローバル地域文化学部, 教授 (70457901)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 強制労働 / 無償労働 / 有償労働 / 外国人労働 / ジェンダー |
研究実績の概要 |
研究対象をドイツに限定し、研究代表者のこれまでの研究が残した方法的・時代的課題を引き受け、分析の射程をナチ期と現代にまで広げ、ジェンダーと階級に加え人種にも着目し、ポーランド人やロシア人の「東部の女性労働者」、さらには無償労働を担っていたドイツ人の「未就労女性」にも光を当てる。特に、有償労働内部の性別職務分離、有償労働と無償労働の分断、外国人労働力の導入とがどのような関係を取り結んでいたのか、歴史実証的な手続きによって分析・考察を本格的に進めていくための基礎研究を行いたい。戦後から現在までに発表された二次文献を検討した上で、研究の問いに対し、一次史料の検討を通じて回答するものであるが、今年度は前年度の継続で、関連する先行研究を読むこと、情報を整理すること、関連する論文を書くこと、関連する英語の研究書の邦訳の監修・解説の執筆、関連する研究の書評を書くにとどまった。研究業績がないわけではないが、本研究の前提となる過去の研究がまだまだベースとなっており、新しい研究動向やアメリカの事例との比較を踏まえた独自の研究の深化、さらに関連するドイツ語の研究書の翻訳、ドイツの文書館(デュッセルドルフ、ケルン、デュースブルク、ドルトムントにある文書館、国際交流基金ケルン日本文化会館、独日協会などにて)での調査を、今年度以降ピッチを上げて、集中的に行いたい。また今年度は、ジェンダー学会においてイギリス、ロシア、中国など他地域における軍隊の女性兵士(ないし通信部隊の通信兵)について研究する研究者との交流を持つ予定(コメンテーターとして)なので、国際比較の視点を持ちながら、個別の事例に即して、研究を進めていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
文献資料の収集は当初の予定よりもやや遅れているが、この遅れはドイツでの調査を予定している2024年度中に取り戻すことができると思われる。また、国内での史料調査や今後の研究展開の策定は進みつつある。
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今後の研究の推進方策 |
ドイツの文書館での調査を予定し、ドイツの研究者に対するインタビューや現地での研究報告を予定している2024年度中に、少しは遅れを取り戻すことができると思われる。新しい労働研究の動向と当該テーマを上手く接続できるよう、先行研究との対話も続けていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
長期出張が可能な9月に学務が入ったこと、さらに、介護を伴う家庭の事情があり、長期的に海外渡航が困難であったこと、このため、予算を旅費や滞在費に使用できなかったこと、必要な研究書を既に購入していたなどの複数の理由から、渡航の予定が確定していた次年度に予算を回すことになったからである。
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