研究課題/領域番号 |
21K12520
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研究機関 | 大手前大学 |
研究代表者 |
藤井 ひろみ 大手前大学, 国際看護学部, 教授 (50453147)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 助産師 / 男性助産師 / 性自認 / 性的少数者 / 多様性 |
研究実績の概要 |
本研究は、出産する人のgender状況により出産の形態や経過に差異があるかどうかを、出産を経験したトランスジェンダーやレズビアンなどの性的少数者と、そのケアを提供する助産師らGMS/SGDM専門家へのインタビューによって明らかにし、その国際比較を通じて、多様なgender状況に対応し得る、新たな出産と助産ケアの論理を見出すことを目的としている。2021年度は、まず助産師ら専門家側のインタビューを実施した。その対象は、国内および外国において助産師資格を日本人助産師とした。 2021年4月から2022年3月。助産学有識者等のステークホルダーに対し、個別インタビューを実施した。いずれもインタビューは、大手前大学大阪キャンパスからリモート形式で行った。研究協力者は4名で、内訳は開業助産師2名、勤務助産師1名、助産学教員1名、日本国内が3名、海外が1名であった。インタビューは各人60分程度で、総時間数は240分であった。①助産師としての現在までの働き方、②女性のみに助産師資格が認められている日本の助産師制度に関する意見、の2点について自由な語りを得た。インタビュー内容は逐語録に起こし、内容分析中である。 また同時に、本研究テーマへの関心のある学生を対象に研究参加者を募り、4名(大学2年生、3年生、4年生、修士課程1年年生各1名)の協力を得た。4名でのフォーカスグループディスカッション(FGD)を2回実施し、学生間の相互作用によってありのままの意見表明を促し、自由な語りを得た。総インタビュー(FDG)時間は140分であった。その内容も同様に逐語録に起こしてデータとした。データは現在分析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度はCOVID-19で依然海外渡航が難しい状況であったため、国内の専門家や、帰国中の助産師を対象に、インタビューを実施した。国内であっても、インタビューはリモートと対面のハイブリッド形式とすることで、概ね順調に進展することができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の対象者は、①出産を経験した人と、②その出産ケアをする助産師もしくはそれに相当する専門家とするが、2021年度は②に対するデータ収集を行った。①については性別移行手術を行っていないトランス男性や、出生時の性別が女児で現在の性別がノンバイナリーである人など、これらの人の性的指向は問わないが、シスジェンダーの場合はレズビアンに限定する。こうした対象へのアプローチが今後の研究推進内容となる。 また①についても、2021年度は日本と英国の日本人助産師であったため、当初計画していたデータ収集候補国・地域であるオーストラリア、ニューシーランド、シンガポール、タイ、韓国、台湾の各国・地域の助産師規定の調査とインタビューが、2022年度の課題となる。 いずれも、現地でのインタビューは主に2022年度から2023年度に行うよう計画しており、COVID-19の世界的な感染管理状況から、計画通り今後実施できる見通しである。
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次年度使用額が生じた理由 |
インタビューの実施が年度末になったこと、またインタビュー対象が日本語母語の方のみであったことから、データの入力費と翻訳費の支出をかけることができなかった。 インタビュー場所を研究者の研究機関で行えたこと、海外フィールドへの渡航に関する環境が各国ともにまだ十分でないことから、旅費の支出が計画より少なかったことが、主な理由である。
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