研究課題/領域番号 |
21K12528
|
研究機関 | 群馬県立産業技術センター |
研究代表者 |
渡部 貴志 群馬県立産業技術センター, その他部局等, 独立研究員 (60727832)
|
研究分担者 |
柳澤 昌臣 群馬県立産業技術センター, その他部局等, 技師 (30868930) [辞退]
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 清酒酵母 / イオンビーム / ウラシル要求性 / 全ゲノム解析 / 群馬県独自酵母 / 尿素非生産性 / カプロン酸エチル高生産性 / ピルビン酸低生産性 |
研究実績の概要 |
きょうかい清酒酵母701号(K701)にUVおよび炭素イオンビーム(C220とC320)、ヘリウムイオンビーム(He50)を照射し、得られた5-FOA耐性変異株について全ゲノム解析を行った。その結果、用いた変異株25株はすべてウラシル合成遺伝子URA3に変異がなく、ウラシル要求性とは別の要因により5-FOA耐性が得られていることが分かった。呼吸欠損株では、作用機構の異なる抗生物質に対して耐性をもつ多剤耐性株になる場合があることから、取得した76株の5-FOA耐性株についてグリセロールを炭素源とする最小培地に接種したところ、1株以外すべて増殖しなかった。 一方、変異処理によるユニークな点変異数は、C220が平均13.2個、C320が11.4個、He50が8.4個であり、UVでは17.2個であったことから、UV照射に比べ、イオンビーム照射は、ゲノムあたりの変異数は少ない傾向が確認された。また、イオンビームの線エネルギー付与(Liner energy transfer: LET)が高ければLOHと推測される大規模な変異が入りやすい傾向も確認された。以上のことから、本研究の目的であるイオンビーム照射の優位性が活かせた清酒酵母開発の処理条件が見つけられたと考えられた。 続いて、本研究で見出したイオンビーム照射による清酒酵母開発の処理条件を用い、群馬県独自の清酒酵母の改良に取り組んだ。その結果、群馬KAZE酵母3号からは、発がん性が疑われているカルバミン酸エチルの前駆物質である尿素を生産しない変異株を取得することができた。また、群馬G1酵母泡なし株からは、リンゴ様の香気成分のカプロン酸エチルを高生産する変異株を取得することができた。さらに、群馬G2酵母泡なし株からは、オフフレーバーであるジアセチルの前駆物質αアセト乳酸の指標となるピルビン酸の生産量が低い変異株を取得することができた。
|