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2021 年度 実施状況報告書

横方向傾斜磁場アンジュレータを用いたエネルギー分散抑制効果の研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K12533
研究機関東北大学

研究代表者

武藤 俊哉  東北大学, 電子光理学研究センター, 助教 (10431496)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードアンジュレータ
研究実績の概要

本研究の目的である横方向傾斜磁場アンジュレータ(Transverse Gradient Undulator:TGU)を用いたエネルギー分散抑制効果の検討を行うために今年度は放射計算コードを開発を行い、その抑制効果についての評価を行ってきた。
まず放射計算のために現在当センターで保有している7周期(周期長80mm)のテラヘルツ光発生用の通常のプラナー型アンジュレータの磁石列を使用したTGUの検討を行った。アンジュレータの上下の磁石列に40度の角度を付けることで十分な横方向傾斜磁場が発生することが3次元磁場計算コードRadiaを用いて確認することが出来た。Radiaで計算された3次元磁場を用いて放射計算を行った。傾斜磁場を用いたことによりアンジュレータ中での電子ビームが行う蛇行運動の左右で電子が感じる磁場の強度が異なるためにアンジュレータ全体を通して電子ビームが受ける磁場の積分量がキャンセルされずに入射された電子ビームが大きく曲がって出てくることが分かった。この余分な磁場を打ち消すためにアンジュレータの前後に補正用の偏向電磁石を入れることにした。また、中心エネルギーの粒子が目的の波長で共鳴するために入射条件(水平位置、角度)の検討を行い、入射条件を決定することが出来た。またアンジュレータ入り口での運動量分散関数を調整することで異なるエネルギーの電子が同一波長で共鳴する条件を数値計算によって得た。このような条件下で電子ビームのエネルギー分散を変化させながらアンジュレータ光計算を行ったところ、通常のプラナー型アンジュレータではエネルギー分散が大きくなるにつれアンジュレータ光のスペクトラムの幅が増大してしまうがTGUを使った場合アンジュレータ光のスペクトラムの幅は増大せずに電子ビームのエネルギー分散がない場合と同様の値を示しておりエネルギー分散の抑制効果を確認できた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度の主目標であるTGUの有用性を数値計算によって示すことが出来たが計算コードの開発、計算の妥当性の検証などに多くの時間が割かれてしまい、次年度の目標であるTGUの製作のための検討を十分に行うことが出来なかったため当初の予定より若干の遅れがあると考えるが、本年度の成果によって大筋の設計方針は決定できているので後は製作上の問題点等の洗い出しを行うことで次年度の目標であるTGUの製作は十分に可能であると考えている。

今後の研究の推進方策

次年度はTGU実機の製作を行う。東北大学電子光理学研究センターには交叉型アンジュレータによるテラヘルツ光の偏光操作実験のためのプラナー型アンジュレータが2台ある。このうち1台の磁石列を有効利用することでTGUの製作を行う。製作ののちアンジュレータ磁場測定を行い、RADIAを用いた3次元磁場計算との比較から製作したTGUの性能を評価する。同時にテラヘルツ光源開発のための試験加速器(t-ACTS)のビームラインを整備を進めてTGUのビームテストの準備を行っていく。最終年度には実際の電子ビームを用いてTGUによるエネルギー分散抑制効果の確認をしていく。

次年度使用額が生じた理由

当初、本年度は傾斜磁場アンジュレータ(TGU)の有用性の評価のための数値計算と実験を行う予定の試験加速器t-ACTSのビームラインの整備を行うことを考えていたが数値計算による評価が予定よりも時間がかかってしまったためにビームラインの整備や予備実験を十分に行うことが出来なかったために次年度使用額が生じた。次年度はTGUの製作と実験に必要なビームラインの整備を行う予定であり、これに次年度使用額と翌年度分の助成金を当てていく。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 横方向傾斜磁場アンジュレータの検討2021

    • 著者名/発表者名
      武藤 俊哉
    • 学会等名
      第18回日本加速器学会年会

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公開日: 2022-12-28  

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