研究実績の概要 |
2021年度にbcc固溶体合金の試料合成条件、水素・重水素化特性および中性子回折実験を実施した。Ti45Cr25Mo30とTi50Cr20Mo30合金の熱処理条件(熱処理温度と保持時間)の最適化を行った。1200℃‐3hのアニール処理によって、Ti,Cr,Moがランダムにbcc格子に配置される単相の固溶体合金を作製できた。Tiの組成比の違いによる格子定数変化を正確に捉えることができた。Tiの組成比が5%上昇することで、格子定数が1.3%増加した。 Ti45Cr25Mo30とTi50Cr20Mo30合金の水素・重水素特性をPCT測定によって評価した。Ti45Cr25Mo30は、測定温度10℃で最大吸蔵量が1.6 H/Mに達した。1サイクル終了時に合金内に0.7 H/Mの水素が残留することが得られた。同様の測定をTi50Cr20Mo30合金に対して行った結果、最大吸蔵量1.6 H/M, 水素残留量0.6 H/Mを示した。重水素を用いて、同様の評価を実施した。Ti45Cr25Mo30とTi50Cr20Mo30合金共に最大吸蔵量1.5 D/M, 水素残留量 0.6 D/Mを示した。組成比の違いによる明瞭な特性の差は、観察されなかった。 重水素化物相の中性子回折実験を行った。Ti45Cr25Mo30, Ti45Cr25Mo30D160, Ti45Cr25Mo30D70, Ti50Cr20Mo30,Ti50Cr20Mo30D160, Ti50Cr20Mo30D70の6試料の測定を実施した。現在Rietveld解析による重水素の原子位置、占有量の精密化を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は試料合成条件、水素・重水素化特性、重水素化物相の中性子回折実験を実施した。 2022年度は、中性子回折実験から得られた回折データを用いて、重水素物相(Ti45Cr25Mo30D160, Ti45Cr25Mo30D70, Ti50Cr20Mo30D160, Ti50Cr20Mo30D70)の結晶構造精密化を実施する。残留水素の原子座標や占有率をRietveld解析によって精密化する。 PDF(pair distribution function)解析によって残留水素周辺の金属原子の分布を明らかにする。各金属元素と重水素の相関(Ti-D,Cr-D,Mo-D)に由来するピーク分離を行い、ピークの積分強度から残留水素周辺の各金属元素の配位数を定量化する。組成比の違いが残留水素周辺の金属元素の配位数にどのように影響するのか明らかにする。PDFデータを用いて局所構造解析を実施する。Rietveld解析によって得られた結晶構造(平均構造)と局所構造との相関に注目し、残留水素の影響を検討する。
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