研究課題/領域番号 |
21K12544
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研究機関 | 札幌市立大学 |
研究代表者 |
小宮 加容子 札幌市立大学, デザイン学部, 准教授 (60386894)
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研究分担者 |
細谷 多聞 札幌市立大学, デザイン学部, 教授 (10272189)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 試験片の制作 / テスト実施 / 実験環境整備 / 文献調査 / セミナー参加 |
研究実績の概要 |
令和3年度は①試験片の制作およびテスト実施、②文献調査、関連セミナーへの参加による情報収集を行った。 まず、①試験片の制作およびテスト実施については、粗さ(凹凸)の異なる5種類の試験片を1セットずつで用意し、手触りだけの情報から同じ粗さ同士の試験片を選ぶというテストを実施した。試験片の粗さは5段階あり、ほぼ等間隔で粗くなるように設定した。また、指先だけでなく手のひらを使って刺激を感じることができるように試験片のサイズや形を検討し、一辺5㎝の正四面体とした。 被験者は子どもから高齢者までの計44名である。その結果、最も粗い試験片と最も滑らかな試験片はほとんどの被験者が正しく同じ粗さの試験片同士を組み合わせることができていた。しかし、その中間にある粗さの試験片については間違える被験者も多くいた。年齢や性別による正解率の差はそれほど大きくない。また、実験の様子をみていると、被験者は試験片を触る際に、指先や手のひらを上手く使いながら手触りを確かめていた。試験片のサイズ、形については適していると考える。テストの結果を参考に、試験片の粗さの設定、サイズや大きさについては、引き続き、検討する。 次に、②文献調査、関連セミナー、学会参加による情報収集を行った。本年度はコロナ感染症の影響を受け現地視察はせず、「触覚」、「感覚過敏」、「感覚統合」、「遊び」についてのオンラインセミナーへ参加した。文献調査、オンラインセミナー、学会参加の結果より、五感の中での触覚の役割や複数の感覚の統合、身体との連動の重要性がよく理解できた。そして、感覚過敏・鈍麻の子どもの現状、生活しづらさ、そのサポート技術、道具の現状について把握することができた。人によって感じ方には幅があり、「触る」という経験が増えるごとにその刺激に慣れていくということがわかっているが、それをサポートする適切な支援ツールがないことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ感染症の影響を配慮し、予定していた関連施設調査(現地調査)はできなかったが、代わりにオンラインセミナーによる情報収集を行った。また、試験片の制作についてはテストを実施しながら、粗さの設定、サイズや形の検討をすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
計画通り令和4年度は、試験片の制作として、粗さ以外に、温度、硬さ、重さの異なる試験片を制作する。そして、主に子どもを対象とした試験片を用いた実験を実施する。その結果より、温度、硬さ、粗さ、重さについて、それぞれ、好んで触るか否か、そして、どの程度の差があれば異なる条件の試験片であることに気づくのかを検討し、「触覚の指標」お明確にする。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費は主に試験片の制作のための道具、材料費である。使用額が申請額より少ない理由としては、コロナ感染症の影響を受け、試験片の制作のためのテスト実施の規模を予定より小さく(少人数)で実施しためである。令和4年度は引き続き、テスト実施を行う計画である。
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