本研究では長崎県五島市赤島という雨水を生活用水として利用している島の生活文化を多様な映像で記録・保存した。最終年度では赤島を離れ、長崎市で居住する元島民にインタビューを行い、不足していた映像素材を追加した。撮影は長崎水辺の森公園やその周辺で行い、インサート素材として風頭山からの長崎市内の様子を撮影するなどした。また、これまで長期にわたって資料提供など協力していただいていたこの元島民にこれまでの成果を報告するとともに、訪問に同行できなかった研究分担者の笠井とMicrosoft Teamsをもちいたオンラインミーティングを設定し、情報の共有を行った。これにより、研究期間全体を通して映像素材が整い価値のある映像資料作成が完了した。以上の資料により、雨水を生活用水に用いている文化資料となり、この文化を知るという行為が島の振興につながることが望まれる。これらの成果は地域活性学会が発行する研究論文集「地域活性研究」Vol.17(2022年11月発行)に掲載され、さらにデザイン学会や日本雨水資源化システム学会などの口頭発表やポスター発表等で広く他の研究者等に公表した。また、2023年にイタリアミラノで行われたデザインに関する国際学会International Association of Societies of Design Research(IASDR)に投稿し、プロシーディングの査読を経て現地でのポスター発表を行った。学会発表では参加者等からの活発な質問や情報交換の機会を得ることができ、研究成果への関心の高さがうかがえる結果となった。
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