研究課題/領域番号 |
21K12556
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研究機関 | 福岡看護大学 |
研究代表者 |
三好 麻紀 福岡看護大学, 看護学部, 准教授 (00595259)
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研究分担者 |
窪田 惠子 福岡看護大学, 看護学部, 教授 (20309991)
庄山 茂子 福岡女子大学, 国際文理学部, 教授 (40259700)
青木 久恵 福岡看護大学, 看護学部, 教授 (70526996)
門司 真由美 福岡看護大学, 看護学部, 講師 (80527002)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 高齢者 / PTPシート / 色の判別 / 薬の飲み間違い / デザイン |
研究実績の概要 |
高齢者の錠剤の飲み間違いの防止に繋がるPTPシートのデザイン要素を明らかにすることを目的に、白色錠剤を包むPTPシート58色について、20~30歳代の女性20名が擬似眼鏡着用なし(若年者群)と擬似眼鏡着用(擬似高齢者群)の2条件で判別実験を行った。視力と判別総得点は、擬似高齢者群が若年者群より有意に低かった。擬似高齢者群は、視力が低いほど得点が低くなる傾向がみられ、高齢者は視力や色彩の弁別能力の低下により、内服薬の弁別が正確に行えていないことが考えられた。擬似高齢者群の判別しにくい色相は、青・赤紫であった。先行研究で判別しやすいことが認められたlightトーンで誤判別がみられた。これは、使用した58色のサンプルにpaleトーンやlightトーンの近似色のサンプルが多かったためと思われた。実際に高齢者に錠剤を処方する際、隣接色相や類似トーンのものを同時に複数個処方すると、飲み間違いが起こることが推察された。 次に、PTPシートに使用される異なる印字色と線のデザインについて、20~30歳代の女性20名が擬似眼鏡着用なし(若年者群)と擬似眼鏡着用(擬似高齢者群)の2条件で判別実験を行った。サンプルは、白色錠剤と銀色のPTPシートにvividトーンの印字色10色を用い、線なし、細線1本、細線2本、太線1本の4デザインの画像を作成し用いた。その結果、線による違いよりも色による違いがみられ、擬似高齢者群の判別しにくい色相は、青緑・青紫・赤紫で、特に青紫の誤回答は黒との誤認が最も多くみられた。判別しやすい色相は、橙・黄・黄緑・緑であった。同一色で線の異なる4デザインの比較では、有意な差はみられなかった。高齢者の飲み間違いを防止するためには、PTP包装シートの線のデザインよりも色の方が重要である可能性が示唆された。青系や黒の印字色の薬を複数処方した場合、誤判別に繋がることが推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COVID-19の影響により、感染防止の観点から実際に高齢者を対象に被験者実験を実施することができず、実験は計画通りの内容で進めることはできなかったが、女子大学生を対象に擬似高齢眼鏡を活用し、実験方法を変更する等の工夫をして、研究目的に沿った実験を行った。COVID-19が収束し、感染対策が徹底できれば、2021年度実施した内容について、実際に高齢者を対象として行う必要があると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度に学会発表した、「判別しやすい錠剤のPTP包装の色について-若年者群と擬似高齢者群の比較-」、「高齢者が判別しやすい錠剤のPTP包装シートの印字色と線のデザイン」の二つの実験について、今後は論文にまとめ、学会誌に投稿する予定である。加えて、高齢者の薬(錠剤)の飲み間違いを防ぐことを目的にピクトグラムに着目した調査と実際の高齢者を対象に、薬(錠剤)の掴みやすさに着目した実験を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会発表がオンラインになり、旅費等を使用しなかった。 また、実験に必要な道具が購入できていないため、2022年度に購入予定である。
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