研究課題
本研究では,評価グリッド手法を用いて対面と遠隔での共創プロセスの現状を調べ,両方を融合した共創プロセスを提案し,その有効性の検証まで行った.まず,「対面」と「遠隔」の両共創プロセスを経験した人を対象に,評価グリッド手法によって両プロセスの特徴を可視化した結果,遠隔での共創設計プロセスは,作業における物理的な効率性,拡張性,IT を活用した情報の保管と情報の共有の容易さの利点が挙げられた.一方,対面での共創プロセスは,情報伝達の容易さによる共同作業における一体感の形成により,共感が生まれやすくなっていた.これらの研究結果をダブルダイヤモンド設計モデルへの適用を試みた.最初の発散段階 (問題の洗い出し)と 2回目の発散段階(解決策の洗い出し)では、グループのメンバーのさまざまな視点から問題及びアイデアを収集して共有する合理化を可能にする支援ツールが必要になり,遠隔の共創プロセスがこの段階では有効であると判断される.しかし,最初の収束段階(問題の絞り込み)と2回目の収束段階(解決策の絞り込み)では、グループのメンバーが集められた問題及び解決策の情報の意味を交渉する必要があり,対面での共創プロセスがより有効であると判断される.それを検証するため,「遠隔」での発散と,「対面」での収束を融合したハイブリッド式の共創プロセスであるデザインワークショップを開催した.参加者の評価を主成分分析で調べた結果,その共創プロセスは,「総合的不満」,「認知的負荷」,「限定的思考」そして「閉鎖的関係性」の4つの要因で評価されていた.そして,上記の仮説と異なり,問題発見のダイヤモンドプロセスには「遠隔」での共創が,アイデア発想のダイヤモンドプロセスには「対面」での共創の方がより有効である結果を導き出した.今後,この結果を基にさらに有効である共創プロセスへの改善を試みる.
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Journal of the Korea Institute of Spatial Design
巻: Vol.19 No.1 ページ: 675-684
10.35216/kisd.2023.19.1.675
海洋文化學刊(台湾)
巻: 第三十五期 ページ: 51-69