研究課題/領域番号 |
21K12576
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研究機関 | 福岡看護大学 |
研究代表者 |
中西 真美子 福岡看護大学, 看護学部, 講師 (50766821)
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研究分担者 |
庄山 茂子 福岡女子大学, 国際文理学部, 教授 (40259700)
青木 久恵 福岡看護大学, 看護学部, 教授 (70526996)
窪田 惠子 福岡看護大学, 看護学部, 教授 (20309991) [辞退]
小松 美和子 佐賀大学, 教育学部, 准教授 (80815639)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 授乳服 / 肌ざわり / 着心地 / 褥婦 / 母乳 / 母性看護 |
研究実績の概要 |
助産師による乳房ケアの質や効率を向上させるとともに、褥婦が快適で安全に授乳でき る授乳服のデザイン要素を明らかにするために、これまで、福岡県内の産科病棟のある医療施設に所属する乳房ケアの経験がある助産師130名に、産褥入院中の褥婦が着用する授乳服に関するアンケート調査を実施した。調査内容は、授乳服に「重視する要素」、10種の異なるデザインの授乳服サンプル画に対し「授乳のしやすさ」「乳房ケア時の乳房の出しやすさ」の評価を求めた。さらに、同様の調査を5施設の産褥入院中の褥婦120名を対象に実施し、助産師ならびに褥婦のそれぞれの視点から授乳服の実態と課題を明らかにした。しかし、産褥入院中の褥婦が着用する授乳服については、助産師と褥婦の両者に望ましいデザインを明らかにする必要があることから、助産師と褥婦を対象とした調査結果を統計的に比較分析した。 褥婦・助産師ともに授乳服で「重視する要素」は「乳房の出しやすさ」、「着心地」、「肌ざわり」であった。褥婦が助産師より重視したのは「着丈」で、助産師が褥婦より重視したのは「吸湿・吸水性」、「洗濯強度」、「保温性」であった。「授乳のしやすさ」と「乳房ケア時の乳房の出しやすさ」の印象評価では、褥婦・助産師ともに「ネグリジェ全前開き」、「パジャマ全前開き」の評価が最も高く、褥婦は「授乳口あり」の評価が高い傾向があるのに対し、助産師は「浴衣式」の評価が高い傾向にあった。開胸部については褥婦の約90%が、助産師では約70%が必要とし、その大きさについて褥婦は20㎝四方、助産師は25cm四方を好む傾向があった。 これらの結果から、褥婦・助産師ともに授乳服で重視する要素は「乳房の出しやすさ」であったが、褥婦は授乳する立場から乳房の露出を最小限に調整できることを重視するのに対し、助産師は乳房ケアを行う立場から乳房の露出範囲の広さを重視していることが推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
産褥入院中の褥婦が着用する授乳服のデザインについて、褥婦および助産師の調査結果を比較分析中である。そのため、褥婦および助産師にとって望ましい授乳服のサンプル作成に至っていないことから、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、産褥入院中の褥婦が着用する授乳服に関し、褥婦および助産師の視点から求められる授乳服の要素について引き続き比較分析を行う。その結果を踏まえ、望ましい授乳服のサンプルを試作し、褥婦および助産師から評価を得る予定である。両者の評価から、褥婦が授乳しやすく乳房ケアを受けやすい授乳服、および助産師が乳房ケアしやすい授乳服について検証する。 褥婦・助産師の多くが開胸部を必要としていたことから開胸部のある授乳服を作成する予定であるが、褥婦は乳房全体を露出する必要がないのに対し、助産師は乳房全体を広く露出できる授乳服を求めているため、開胸部のデザインについては検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
褥婦を対象とした調査結果の分析に時間を要したため、助産師と褥婦の調査結果の比較分析が遅れ、授乳服のサンプル作成に至らなかった。 2024年度は、褥婦と助産師の比較分析結果をもとに、両者に望ましい授乳服のサンプルを作成するため、その諸費用に使用する予定である。
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