研究課題/領域番号 |
21K12584
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研究機関 | 北海学園大学 |
研究代表者 |
内田 ゆず 北海学園大学, 工学部, 教授 (80583575)
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研究分担者 |
荒木 健治 北海道大学, 情報科学研究院, 特任教授 (50202742)
木村 泰知 小樽商科大学, 商学部, 教授 (50400073)
高丸 圭一 宇都宮共和大学, シティライフ学部, 教授 (60383121)
乙武 北斗 福岡大学, 工学部, 助教 (20580179)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | オノマトペ / コロケーション |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、多様なコーパスを対象としてオノマトペの用法・語義を定量的に分析し、大規模な『現代日本語オノマトペ実用辞書』を構築することである。2023年度はオノマトペの語義ならびに文脈情報の分析と、辞書の構築を計画していた。 2023年度は前年度に引き続き、妊娠・出産・育児に関するオンラインコミュニティにおける検索履歴、質問文・回答文を対象として、オノマトペの出現傾向を分析した。母親の感情や心身の不調、子どもの疾病を表すオノマトペが頻出することが明らかになった。 感情を表すオノマトペでは「イライラ」が圧倒的に頻度が高い。「イライラ」と共起する語には「旦那」「義母」「産後」などが挙げられる。これらの共起語、出現時期を分析することで、母親のメンタルの不調を検知することもできると考えられる。 また、体の部位や病名などの医療用語と共起するオノマトペには特徴がある。例えば、「カサカサ」は「ほっぺた」「口の周り」「足首」「乳児湿疹」などと共起する。母親に適切なタイミングで医療情報を提供することを目指すとき、これらのオノマトペは役立つと考えられる。 医療分野でのオノマトペ研究においては、医療従事者が発信するオノマトペを対象とすることが多いが、我々の分析によって非医療従事者によるオノマトペの用例を大量に収集できる。引き続き分析を進め、オノマトペ実用辞書に医療・育児ドメインのオノマトペ用例を収録することを計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
構築する辞書を充実させるため、新たなコーパスの分析にも着手したこと、辞書の構築に伴うデータ整理を行うための人材確保が難航したことが遅れの原因である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、2022~2023年度に整備した新たなコーパスからの文脈情報の抽出を行い、分担者とともに語義を分析する。妊娠・出産・育児に関するオンラインコミュニティコーパスについては、データ量は多いものの口語表現やネットスラングも多く見られる。オノマトペ辞書に収録すべき用例を慎重に精査し、分析を進める予定である。 最後にこれまでの成果をまとめ、辞書を構築する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では、アルバイターの人件費、論文投稿料を支出する予定であった。しかし、アルバイターの雇用ができなかったこと、論文投稿ができなかったことによって、支出総額が計画よりも少なくなった。 未使用額は2024年度において、オンサイトで開催される学会への旅費・参加費に充てる。
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