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2022 年度 実施状況報告書

わらべ歌の旋律の伝播と変遷に関する計量的分析

研究課題

研究課題/領域番号 21K12587
研究機関同志社大学

研究代表者

河瀬 彰宏  同志社大学, 文化情報学部, 准教授 (80739186)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードわらべ歌 / 旋律 / アクセント / 骸骨理論 / 音楽情報処理
研究実績の概要

本研究課題は,伝統的なわらべ歌の特徴を定量的に解明し,現代の歌謡との比較から音楽の伝播・変容を実証的に捉えるための新たな視座を構築することである.そして,わらべ歌の旋律と歌詞に対して計量分析を実施することで,旋律的特徴(音組織)と語彙的特徴(語彙体系)を地域別に抽出し,地理情報システムを用いて地域間の相違を可視化することで,地域的特徴を明らかにする.この目的を達成するために,2021年度(初年度)は,わらべ歌の旋律と歌詞のXMLデータ化作業の半分を完了させた.2022年度は,後半のデータ整備を進め,『日本わらべ歌全集』に掲載された全楽曲のデータ化が完了した.また,データ化が完了した遊びに関する種目の全楽曲を用いた構造分析を試験的に実施した.具体的には,柴田南雄の「音楽の骸骨」を実証するために,数理的にモデルを組み立て,ネットワーク分析を用いた実証実験を行った.その結果,旋律がいくつの音高から構成されるかによって,旋律を構成する核音の重要度が変化してしまう問題点があることが明らかになった.この分析は,あくまでも旋律の側面について検証したものであるが,今後の歌詞の構造との対応関係を見ていく際に重要な点になると想定している.本研究内容に関わる一部は,日本音楽知覚認知学会,日本分類学会第41回大会,DH BUDAPEST2022&DARIAHDAYS国際会議,人文科学とコンピュータシンポジウム(じんもんこん2022)の各研究会において報告した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2022年度は,2021年度に引き続き分析基盤の整備として『日本わらべ歌全集』の全楽曲 (全39巻・9,800曲) の後半部分のMusicXMLデータの作成を完了させた.同時に,各楽曲が採録された地域のリストが完了したことにより,地域間の比較分析に使うメタデータが整備された.旋律の側面について,試験的な構造分析を実施し,柴田南雄の骸骨理論の問題点を計量的な観点から明らかにした.このほかに,いくつかのデータに不備があるため,修正を加えた.

今後の研究の推進方策

2023年度(最終年度)は,現代の歌謡との比較から音楽の伝播・変容を実証的に捉えるための新たな視座を構築するために,これまでに構築してきた楽曲データの比較分析を実施する.とくに,歌詞の分析については,通常のテキストアナリティクスで用いられる形態素解析の方針では,有意義な結果が得られないことが日本民謡の分析過程から確認されたため,人手でフレーズを切り分ける方針に切り替える必要があり,そのための準備から始める.フレーズの分割の規則性を実装できれば,全楽曲を対象に,地域ごとに比較分析する.

次年度使用額が生じた理由

当該助成金が生じた状況としては,分析データ整備のための謝金を他の研究費から支出できたためである.しかし,当初研究課題を申請した際に予定していたデータの2次チェック,3次チェックのために,次年度に使用する予定である.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [学会発表] ネットワーク中心性を用いた核音の概念の再検討2022

    • 著者名/発表者名
      中洲貴一・小嶋彩加・足立潤治・森川葵・河瀬彰宏
    • 学会等名
      日本音楽知覚認知学会2022年度春季研究発表会
  • [学会発表] ネットワーク理論を用いた日本伝統音楽の構造分析2022

    • 著者名/発表者名
      小嶋彩加・中洲貴一・足立潤治・森川葵・河瀬彰宏
    • 学会等名
      日本分類学会第41回大会
  • [学会発表] Structuring Melody in Traditional Japanese Music Using Network Theory2022

    • 著者名/発表者名
      Akihiro Kawase
    • 学会等名
      DH_BUDAPEST_2022&DARIAHDAYS
    • 国際学会
  • [学会発表] 同志社大学人文情報学研究室におけるデジタル・ヒューマニティーズ研究2022

    • 著者名/発表者名
      河瀬彰宏
    • 学会等名
      デジタル・ヒューマニティーズが拓く日本研究の新展開
    • 招待講演
  • [学会発表] ネットワーク中心性を用いた核音の計量分析2022

    • 著者名/発表者名
      中洲貴一・小嶋彩加・足立潤治・森川葵・河瀬彰宏
    • 学会等名
      人文科学とコンピュータシンポジウム(じんもんこん2022)

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公開日: 2023-12-25  

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