研究課題/領域番号 |
21K12589
|
研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
林 武文 関西大学, 総合情報学部, 教授 (90268326)
|
研究分担者 |
井浦 崇 関西大学, 総合情報学部, 教授 (90554519)
長谷 海平 関西大学, 総合情報学部, 准教授 (20633895)
一色 正晴 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 講師 (30583687)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | ミュオグラフィ / 古墳の内部調査 / 可視化 / ミュオン |
研究実績の概要 |
本研究は、新世代ミュオグラフィ技術を埋蔵文化財の調査に適用し、その有効性を検証するとともに、情報発信によって学術分野の進展と地域や社会に貢献することを目指している。今年度は、以下の項目について検討を進めた。 (1)古墳の計測:岡山市造山古墳の計測を継続した。前年度までに第1次地点93日、第2次地点127日の計測データを得た。今年度はさらに第3次地点での計測を実施したが、装置の故障による中断があり、計測を継続している。今後は、内部が既知の古墳(倍塚のひとつである仙足古墳)の計測に取り組む予定である。 (2)結果の処理と可視化:計測装置のノイズ除去とバックグランドのミュオンの分布を考慮した透過画像の解析を行ったが、依然として埋蔵物の確証が得られていない。シミュレーションの精度を上げるため、内部構造が既知の古墳に対するミュオンの透過長の検討を行う予定である。また、今年度より岡山市による発掘調査が開始され、内部の状態が公表されるため、その結果との対応づけも行う。 (3)情報発信:現在、造山古墳の調査を実施している岡山大学、山梨大学、東海大学、岡山市教育委員会との合同シンポジウム「文理融合分析による造山古墳の総合的研究」にて計測データを公表し情報共有を行った。また、一般市民に向けたアウトリーチ活動として、ハンガリー大使館(東京)、大阪商業施設(ナレッジキャピタル)、美術館(岡山国際美術研究所)等においてコンテンツや作品展示と講演会等の啓発行事を展開した。さらに、岡山市や地域団体(造山古墳蘇生会)の協力の元、古墳の歴史やミュオグラフィの広報パンフレットを作成し、ビジターセンター等で配布した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
古墳の計測に関しては、今年度はさらに第3次地点での計測を実施したが、装置の故障による中断があり、現在調整中である。
|
今後の研究の推進方策 |
古墳の計測に関しては、計測精度を向上させるために計測を継続している。今後は、得られた透過画像に対して、密度分布を考慮したミュオンの透過長、バックグランドの影響、計測ノイズの影響を加えたシミュレーションを行い、比較検討を進める。2024年度以降は、内部構造が既知となっている倍塚の千足古墳の計測を行う予定であり、計測結果の解釈と埋蔵物の検出技術に関して検討を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究成果のアウトリーチ活動を継続して行うために、その必要経費を2024年度に繰り越した。繰り越した経費で、会場の使用料(2024年度会費)を支払い、残額は市民向けセミナー実施に必要消耗品費の購入に充てる。
|