研究課題/領域番号 |
21K12590
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
田村 光平 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (60725274)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 文化進化 / 考古学 / シミュレーション / データベース / 弥生時代 / 人骨 |
研究実績の概要 |
人類史の諸事象の理解には、文化の情報である考古学のデータと、担い手の情報である自然人類学の両方のデータが必要になる。本研究は、日本列島の縄文・弥生時代の移行期を対象とし、人骨および土器の三次元データを収集するとともに、定量的な形態の比較からシミュレーションまでおこなう。今年度は、主として人骨および土器の3次元データの集成・整理を中心的な作業とした。今後さらにデータが増える可能性があるが、現段階でも、西日本を広くカバーするデータが利用可能である。 データの整理作業に加えて、土器について、実測図による二次元データと、三次元データをそれぞれ定量化し比較することで、二次元データが三次元の物体の一面しかデータ化できていないことの影響について検討した。結果、二次元データであっても、広域の比較をする場合には大きな問題はないという見通しを得られた。土器の形態の定量化において、基本的には三次元データを使う計画だが、この比較によって、時間あるいは空間解像度が不足している場合、二次元データを相補的に利用することを検討している。 また、最終的に実施する予定であるシミュレーションについても、先行研究のサーベイを始めている。サーベイの結果のごく一部ではあるが、投稿・受理された。本研究の対象である自然人類学と考古学両方のデータをもちいたシミュレーションと、シミュレーションによる解析方法の妥当性の検討について概説した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データベース構築、定量的な形態の解析、シミュレーションのそれぞれについて、飛躍的な進捗はないものの、基礎作業が順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、まず土器データと人骨データの形態変異をそれぞれ定量化することで時空間的にプロットし、それぞれの変化を比較・検討する。どちらのデータについても、幾何学的形態測定学の手法をもちいておこなえる見通しがたっている。人骨・土器のどちらも三次元データの解析をおこなう計画だが、土器データについては、十分な時空間解像度が得られない場合、二次元データを使うことも検討している。並行して、シミュレーションに必要な地理データの取得と、データをもちいないシミュレーションについても実施する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響による半導体不足で予定していた計算機が購入できず、また資料調査もできなくなったため。
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