研究課題/領域番号 |
21K12591
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
白川 栄美 東北大学, 学術資源研究公開センター, 協力研究員 (50785938)
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研究分担者 |
元 ナミ 東京大学, 文書館, 助教 (10783920) [辞退]
橋本 陽 京都大学, 大学文書館, 特定助教 (10882615) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | アーカイブズ / 目録規則 / デジタルアーカイブズ / 概念モデル / 電子記録 / RiC |
研究実績の概要 |
本研究では今後日本で急速な増加が予想されるアーカイブズ資料のボーンデジタル化を見据え、日本におけるデジタル媒体資料の円滑な検索と利用を可能にするアーカイブズ目録記述規則の方法を明らかにすることを目的とする。研究遂行のため、1)従来の目録規則の課題点の分析・検証、2)ボーンデジタル資料への対応と新しく開発された概念モデルによる目録規則「Records In Context(以下RiC)」の研究・分析、3)RiCを用いたアーカイブズ資料の目録記述化の3つを当初の目標としていたが、昨年度の研究から、3)においてRiCをゼロから適用することは膨大な労力を要し非効率的であるため、RiCの有用性を検証するためには従来の目録規則に沿った目録情報を「符号化記録史料記述(EAD)」で書き換えてからRiCコンバータを用いてRiCへ移行する必要があると判明した。また、本研究遂行にあたり収蔵施設に赴き実際の資料の目録作業を行うこと、RiC開発メンバーと直接の面談を通して開発経緯等のヒアリング・実践例の仮想実験を行うことは非常に重要な要素である。 本年度も新型コロナウィルス感染の流行・まん延防止等重点措置の影響により県外移動の回数・期間が制限されたこと、海外調査の遂行が不可能になったことから、本年度は上記3)で必要となる一次資料の分析と目録データ作成を中心に進めた。その成果は次年度に口頭発表・論文の形で公表する予定である。上記2)については新型コロナウィルス感染の世界的状況・ウクライナ戦争の影響により海外調査を実施できず各自で文献研究等を行うにとどめた。次年度では海外調査を行い、英・仏・蘭の専門家との協議によりアーカイブズにおける概念モデル理解の深化と分析を目指す。上記3)は研究分担者の多大な協力によりRiC実装に向けた検証研究を進めることができた。その成果は研究会等の発表により公表されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の遂行には、収蔵庫に赴き実際の資料の調査・整理作業を行うこと、実践例の調査・マッピングシミュレーションをRiC開発チームメンバーと直接の面談を通して行うことが非常に重要な要素となっているが、続く新型コロナウィルス感染拡大の影響により、国内外における出張・移動が制限され、現場での資料調査・整理作業および海外調査を予定通り行うことができなかった。そのため今年度も資料調査の成果を公表するにはいたらなかったが、次年度に口頭発表・論文の形で公表する予定である。新型コロナウィルス感染状況下における制約の中において研究遂行に遅れがでてはいるものの、研究分担者の担当研究(主にRiCの適用法・適用事例の調査およびトライアル)はほぼ完了したと言える。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染終息における世界的な方針がおおよそ決まったため、次年度は海外調査を実施し、RiC開発グループメンバーおよびRiCのパイロット運用を行っている複数組織の専門家との協議・ヒアリング調査を進める予定である。次年度は、これまでの成果を発表するだけでなく、RiC開発メンバーからの知見を共有するための研究会等の開催も検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染の世界的状況・ウクライナ戦争の影響により海外調査ができなかったことから旅費を支出できなかったため未使用額が生じた。延期していた海外調査を次年度に行ない、未使用額の一部はその経費として充てることにしたい。
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