研究課題/領域番号 |
21K12594
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
田中 武志 広島大学, 病院(医), 助教 (40325197)
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研究分担者 |
木内 良明 広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (40214738)
氏間 和仁 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (80432821)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | Webアクセシビリティ / 視覚障害 / 中心視野欠損 / 読書 |
研究実績の概要 |
田中は、大規模医療機関のWebサイトのアクセシビリティを向上させるためにJIS X 8341-3の適合レベルAAAの達成基準のうち医療機関Webサイトの語彙に関するものを抽出し、それに基づいて幾つかの大学病院Webサイトの語彙を確認したところ、殆どのWebサイトでは抽出された達成基準が求めるところの義務教育終了程度の語彙レベルと大きくかけ離れてはいないと考えられるものの,やや難しい用語も見られることから、標準的な医学用語辞典が提供されればより理解しやすくなる可能性が高くなることを示した(発表1)。平行してページ内の「見出し」の効果を調べるための実験用のモデルページを作成し、木内、奈良井らと共同で視覚障害者当事者を対象にアンケートを行いながらモデルページの暫定的評価を行った(2022年度発表予定)。 氏間、今津らは、中心視野を失い偏心視を強いられる人がどのくらいの大きさの文字を知覚出来るのかを探るため、20代の晴眼者を対象に、中心視野を隠す器具を用いて、偏心視の中心視野からの角度(偏心度)が大きくなると一文字を知覚するのに必要な視野角の大きさ(文字知覚域)がどう変化するのか、平仮名を用いて測定を行った。その結果、文字知覚域は偏心度に大きく依存し、中心視野(偏心度0°)に比べて偏心度10°では約6倍、偏心度0°と偏心度20°では約22倍もの大きさになることが測定された(論文1,発表3)。 合わせて視覚障害者の読書に関する基礎研究および視覚リハビリテーション、当事者支援環境や福祉制度に関する調査などの関連研究を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
偏心視の場合の文字知覚及び読書速度に関する研究は順調に進展している。 新型コロナウィルスの流行のため、視覚障害者当事者へのヒアリングおよび晴眼者を対象としたWebアンケートの準備のためのヒアリング作業が遅れているものの、アンケートの為のモデルページの準備、および視線解析に必要なソフトウェアの導入などは進行しているため、大きな遅延はない。
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今後の研究の推進方策 |
偏心視の場合の文字知覚及び読書速度に関する研究を進めるのと並行して、医療機関Webページにおける「見出し」がどのように閲覧者に影響を与えるのかを調べるために、20代の晴眼者を対象としたWebアンケート調査を行い、その中から「見出し」に対してポジティブに評価した被験者とネガティブに評価した被験者をランダムにセレクトして視線解析を行い、「見出し」による閲覧の仕方の違いの有無を検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの流行のため、学会出張がWeb経由になって旅費が減ったことと、健常者および視覚障害者当事者向けのアンケートの進捗が遅れたため。今年度に研究成果を日本医療情報学会春季学術大会、日本ロービジョン学会、視覚リハビリテーション研究発表大会、医療情報学連合大会などで発表する予定であり、そのための予算として用いる。
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