研究課題/領域番号 |
21K12597
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
小野 永貴 筑波大学, 図書館情報メディア系, 助教 (10592868)
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研究分担者 |
宇陀 則彦 筑波大学, 図書館情報メディア系, 教授 (50261813)
佐藤 翔 同志社大学, 免許資格課程センター, 准教授 (90707168)
高野 和彰 日本大学, 芸術学部, 助教 (70831105)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 全天球映像 / 電子図書館 / 書架回遊 |
研究実績の概要 |
本研究は、新型コロナウイルス対策に伴ってバーチャル図書館へのニーズが高まっていることに鑑み、書架回遊経験による能力形成効果を持続させるための手法確立を目指し、360度全方向を見渡せる全天球画像・映像を用いたコンテンツを研究開発することを目的としている。 補助事業期間2年目の今年度は、遠隔地での実験用機材や分析環境を調達し、多様な現場で実験を行い結果データを分析する体制を整えることを目指した。複数のデバイスおよび規格・技術を比較検証して採用候補を選定し、必要機器およびライセンス、通信環境等一式を整備した。そして実際に、私立大学の専門資料室の書架空間において撮影実験を行い、図書館における撮影コストの実測および書架撮影時に発生する固有の画像特性等を抽出し、汎用的なコンテンツ構築への知見を蓄積した。 また、全天球映像のコンテンツ応用施策や教育環境等の社会情勢における最新動向へ適応すべく、技術調査・現場事例調査も継続的に並行実施した。具体的には、既存の大学図書館における"バーチャルツアー"と称するコンテンツの現状と傾向を調査し、その実態を「図書館の外観や内観・書架、サービス内容を画像やスライドにまとめたものを『バーチャルツアー」として掲載する形態』『図書館の外観や内観・書架、サービス内容を動画として撮影し配信する形態』『全天球カメラにて図書館の内観・書架を撮影し、アクセスする側が自らの操作で動き回ることが可能なウォークスルー型VRコンテンツとして公開する形態』の3種に類型化した。また、物理的な書架の優位性を検討することで、相対的にバーチャル書架の位置づけを考察した。これらの過程をふまえ、2件の雑誌へ記事寄稿を行った。 その他、今後新たに撮影実験を行う候補地の交渉や内諾を得るフェーズに進んでおり、次年度の円滑な実験拡大に繋がる進捗段階に達することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に策定した推進方策において、2年目は「多様な現場で実験を行い結果データを分析する体制を整えること」としていたが、その計画通りに体制構築を行い、実際に一つの現場で予備実験を行うことができた。また、予定通り技術調査・現場事例調査を継続的に並行実施し、その成果の一部を寄稿により情報発信することがができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、これまでに蓄積した撮影およびコンテンツ開発の知見をいかし、一定の規模の書架に対する撮影およびコンテンツ開発を行い、その評価実験の実施および実験データの複合的な分析まで至ることを目標とする。また、補助事業期間の最終年度となるため、3年間を通して得られた知見と成果を総括して、学術論文を複数公刊すると同時に、コンテンツのデモンストレーション公開を行い社会還元に資することも目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
成果発表の場面について、今年度は雑誌記事執筆や招待講演が中心であったことから、当初の想定よりも旅費の発生が少なく、未使用額が生じている。また、撮影実験を冬期休暇期間中に実施したことから、予定のあう学生スタッフを確保することができず、研究代表者・分担者のみで作業を実施した。そのため、謝金・人件費が未使用となっている。 次年度は、複数の現場での撮影実験の必要な機材の多重化や、その準備やデータ編集等に伴う学生スタッフの人件費および実験協力者への謝金等を執行予定である。また、補助事業期間最終年度につき、成果発表のための論文投稿費用や学会発表旅費等の使途でも使用予定である。
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