研究課題/領域番号 |
21K12603
|
研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
宇野 良子 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40396833)
|
研究分担者 |
篠原 和子 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00313304)
岡野 一郎 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30285077)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | メタファー / 言語学習 / 心的距離 / 自己の拡張 / 認知言語学 / 学習意識 |
研究実績の概要 |
本研究は、学習者の言語についての語り方から、言語の学習意識の一部を指標化する方法の構築を目指す。具体的には、日本語を母語とする大学生が学習対象である英語を「自己」とどれくらい近いものと捉えているか(言語までの心的距離)を、認知言語学の概念メタファー理論を応用して分析する。 本年度は、まず前年度からの継続で、本研究の理論的基盤として、言語と自己拡張の関係についての研究を行った。言語を使用する際に話者と言語の距離が近くなる事例を指摘し、そのことが言語システムにもたらす影響について論じた。認知言語学が扱うべき新たなトピックを提案することができた。成果は学会発表は論文の形でまとめた。 次に、具体的なメタファー分析として、学校で用いられる「食らう」に関わるメタファーを、マイクロブログの投稿をデータとして研究した。これは、学校という場面で学生たちがどのように出来事を捉え、さらにそれをどう見せようかということを反映した言語表現のケースであり、学習の場の特殊性を明らかにする分析となった。成果は国際学会で発表した。 最後に、学生が「自己から英語をどれくらいの距離と捉えているか」についてのアンケート調査と分析を行った。その結果をまとめ、投稿した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最初に予定していた、自己と英語の距離についてのメタファーの分析については、ゆっくりではあるものの、着実に進んでいる。一方で、その分析の過程で、学習意識の解明に関わるような別種のメタファー表現にも着目することとなり、新しい研究をすすめることができた。言語による自己拡張に関わる理論的な面についても、さらに議論を深めることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度は、英語と自己の間の心的距離についてのアンケートの分析結果からより考察を深め、さらに必要であれば再度アンケートを行うなどし、研究成果をまとめる予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
ポーランドでの国際学会への参加を予定していたが、ウクライナ戦争の影響で、完全なオンライン開催に切り替えられたため、次年度使用額が発生している。その分の資金で、来年度欧州での学会発表を行うことを計画している。
|