研究課題/領域番号 |
21K12604
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
熊野 弘紀 山梨大学, 大学院総合研究部, 特任助教 (40568325)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 意思決定 |
研究実績の概要 |
絶え間なく変化する環境の中で、今は何が適切かを素早く知り、柔軟に判断を切り替え適応的に行動する能力はヒトを含む霊長類で特に発達した認知機能である。本研究では、脳は環境の変化によって不要になった情報もいったん取り込んだのち、徐々に廃棄することで柔軟に判断を切り替えるというリーク仮説を検証することを目的とする。そのために、ルール(環境に相当する)に応じて2つの判断を切り替えなければならないタスクスイッチ課題をサルに行わせる。このタスクスイッチ課題では、注視点の色によって視覚刺激の運動方向か奥行きのどちらについて判断しなければならないかを教示する。注視点の色は試行ごとにランダムに変化するので、サルは試行ごとにどちらを判断するか柔軟に切り替える必要がある。 リーク仮説を検証するために、課題の視覚刺激に短時間の外乱(パルス)を導入し、どのタイミングで与えたパルスがサルの行動に影響を与えたかを検討した。リーク仮説では、視覚刺激呈示初期に与えられた課題に不要な情報は徐々に廃棄されるので、行動への影響が小さくなると予測される。 2021年度までに1頭のサルでリーク説の予測と部分的に合致する結果を得ていた。 2022年度では、2頭目のサルの訓練を完了し実験を開始した。まだ試行数は少ないものの、1頭目と同様の結果を得た。また、今後の生理学的実験への発展も考え、3頭目のサルの訓練を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2頭目も1頭目と同様の結果を得ることができ、その結果はリーク説の予測と部分的に合致していたため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、2頭目のサルでのデータ取得を進める。2頭分のデータが揃い次第、論文を執筆し結果を公表する予定である。また、3頭目のサルの訓練も引き続き行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
サポートが終了したサル覚醒行動実験制御システムの更新用の費用を計上していたが、まだ更新しておらず次年度使用額が生じた。他の実験制御システムの情報収集を進めており、いくつか候補は絞れているが、引き続き情報を集め、新しい実験システムの構築を行う予定である。
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