先行研究で、前頭前野、運動補足野、運動前野、大脳基底核、頭頂葉、小脳、海馬などの多くの脳領域が時間知覚において何らかの形で関与していることが分かっているが、具体的にどのような役割を担っているのかは分かっていない。本課題では、ニューロンの詳細な活動を計測できる単一ユニットレコーディグ法により、時間知覚における前頭前野と運動前野の役割の一端を明らかにした。時間知覚は多くの認知活動とも関わりが深い。また、精神疾患によって時間感覚が歪むことも知られており、時間知覚を診断に役立てようとする試みもある。脳内ストップウォッチの神経基盤の解明は、認知機能の理解に止まらず、臨床応用にも役立つと確信している。
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