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2021 年度 実施状況報告書

記憶想起における情報探索過程の追跡ー記憶読出し失敗のメカニズム

研究課題

研究課題/領域番号 21K12619
研究機関生理学研究所

研究代表者

岡崎 由香  生理学研究所, システム脳科学研究領域, 助教 (10718547)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード記憶想起 / TOT
研究実績の概要

記憶想起の失敗は一度は記憶された情報が時間経過とともに永久的に喪失したことを反映する利用可能性の問題と情報があるにも関わらず想起できないことを反映するアクセス性の問題によって起きている。本研究課題では後者に焦点を当て、想起に関する神経処理過程を時空間的に追跡し、何が最終的な想起の『成否』決定につながっているのかを解明することである。

本年度は、記憶情報の有無に加え、被験者が想起できなかった場合でも情報が利用可能状態であったことを確認できる実験デザインを考案した。実験では顔から名前を想起する課題を行う。使用する顔は芸能人の顔画像を用い、その顔に対応する芸名を回答してもらう。顔画像提示後、応答制限時間内に名前を「A.思い出した」、「B.知らない」、「C.知っているが思い出せない」で回答してもらい、回答がCの場合はヒントを呈示する。制限時間は注視点の色を徐々に変化させることで被験者に知らせる。思い出そうとしている事がのど喉元まででかかっていて、なかなか思い出せないようなとき(Tip of the tongue状態; TOT)でも、ふとしたヒントなどによって想起可能な場合がある。このような状態では記憶情報は喪失しておらず、一時的に情報にアクセスできなかったことを意味する。つまり、このような条件を組み込むことにより利用可能性とアクセス性の問題のどちらで想起できなかったかを区別することが可能となる。ただし、被験者が正答率を上げるために思い出しているにも関わらずヒントの呈示を待つ可能性も考えられる。そのため、正答率と顔呈示からの反応時間に応じた金銭的報酬でこれをコントロールする。

さらに、本課題では大量の顔画像とそれに対応する名前が必要となるため、その準備を進めた。これらの実験提案を基に生理学研究所と共同研究先との間での倫理委員会の承認を得た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

生理学研究所でのMEGシステムが利用停止となったため、MEGを有する外部機関を探索し、共同研究の実現に向けての準備と各種承認に時間を要した。このため、当初計画していた予備実験等を行うことができなかった。

今後の研究の推進方策

ヒントの有効性など行動実験で確認後、MEGまたはEEG実験を進める。多次元データ解析により、ボタン応答前の時系列データを低次元空間上でトレースする。この軌道を応答条件間で比較することにより想起の成否に関わる記憶探索過程の可視化する。またヒント提示後のデータを応答条件間で比較することにより、外因的きっかけによる遷移を追跡する。これによりどのような活動状態が想起に結びつくきっかけとなっているのかを探る。

次年度使用額が生じた理由

生理学研究所でのMEGシステムが利用停止となったため、MEGを有する外部機関を探索し、共同研究の実現に向けての準備と各種承認に時間を要した。このため、当初計画していた予備実験等を行うことができず、実験用物品購入や謝金等の支払いがなかったため。次年度は被験者謝金、および共同研究先等への出張旅費に使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Frequency- and Area-Specific Phase Entrainment of Intrinsic Cortical Oscillations by Repetitive Transcranial Magnetic Stimulation2021

    • 著者名/発表者名
      Okazaki Yuka O.、Nakagawa Yumi、Mizuno Yuji、Hanakawa Takashi、Kitajo Keiichi
    • 雑誌名

      Frontiers in Human Neuroscience

      巻: 15 ページ: 608947

    • DOI

      10.3389/fnhum.2021.608947

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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