研究課題/領域番号 |
21K12632
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
片岡 則之 日本大学, 工学部, 教授 (20250681)
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研究分担者 |
松本 太郎 日本大学, 医学部, 教授 (50366580)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 再生医療 / DFAT細胞 / メカニカルストレス / 細胞分化 / 細胞増殖 |
研究実績の概要 |
本研究では、患者本人から簡易に採取可能で高分化能を持つ脱分化脂肪細胞(DFAT細胞)に、培養液の流れによるせん断応力や、伸展刺激を負荷した際の増殖能、分化能を評価し、最適な力学培養条件の探索を行うことを目的としている。 本研究では、流れによるせん断応力と培養基質の伸展刺激の同時負荷を可能な装置を設計・製作し、1) 流れによるせん断応力による影響、2) 培養基質の伸展刺激の影響、3)さらに、上記2つのメカニカルストレスの同時負荷の影響を解析する。 研究実施初年度は、2つのメカニカルストレスの同時負荷装置の開発に注力した。これまでに本研究室で開発・使用中の回転をもとにした振とう培養装置上に、円形の伸展部位を持つシリコーンチャンバーを組み合わせ、シリコーンチャンバーの下部より空気を吸引して引張刺激を負荷する装置を作製した。回転による振とう培養装置では、円形の培養ディッシュ底面に周期的に0.1~1.0Pa程度のせん断応力を負荷することが可能なことを確認している。シリコーンチャンバーの吸引にはステッピングモーターを用いてPCのよる制御・駆動を行なった。シリコーンチャンバー底面には、不均一であるが、放射状に最大10%程度の歪みを負荷することが可能であった。シリコーンチャンバーを親水化処理、コラーゲンコートを行うことにより、細胞培養が可能なことを確認した。また、装置を1週間、駆動可能なことも確認した。初年度の当初目標である、培養細胞への流れ、伸展の同時負荷装置は完成した。DFAT細胞を用いた実際の実験は、次年度以降に実施予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究初年度、マウス脱分化脂肪細胞に振とう培養装置にて2~3週間培養を行い、培養液に骨細胞分化因子添加、あるいはVEGFを添加して骨細胞分化と内皮細胞への分化を観察する予定であった。しかしながら、新型コロナの感染予防の観点から研究室への入室を制限したため、細胞の長期間培養が思うように進まなかった。そこで、初年度、2つのメカニカルストレスの同時負荷装置の開発に注力した。装置は完成し、当初計画とは研究遂行の順序が入れ替わったが、全研究期間内には当初計画は実施可能と考える。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画とは研究遂行の順序が入れ替わったが、全研究期間内には当初計画は実施可能と考える。次年度以降、DFAT細胞を用いて、まずは、1) 流れによるせん断応力による影響、2) 培養基質の伸展刺激の影響、3)さらに、上記2つのメカニカルストレスの同時負荷の3条件での細胞増殖を確認する。その後、VEGF添加培養液での流れ負荷、骨細胞分化因子添加培養液での伸展刺激負荷実験を実施し、内皮細胞や骨芽細胞への分化を解析、確認し、最適培養条件の探索に努める予定である。現状では、大きな課題、問題点は発生していない。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、新型コロナの感染拡大により、共同研究者との研究打ち合わせ出張を取りやめたこと、国内外の調査出張を取りやめたことによる。次年度以降、可能な限り、打ち合わせ出張と調査出張を実施する予定である。
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